2010年2月4日、日立製作所は副社長の中西宏明氏が4月1日付で代表執行役社長に就任すると発表した。富士通も同年1月22日、山本正己常務が4月1日付で執行役員社長に昇格すると発表したばかりだ。
日立、富士通ともに、現社長が変則的な形で会長兼務で就任後、1年足らずで新しい社長が選ばれた点が共通する。また日立は70歳の川村隆氏から63歳の中西氏へ、富士通は66歳の間塚道義氏から56歳の山本氏へと、大幅に若返ることも共通点だ。
両社は本格反攻を新社長に託す。
“止血”を終え攻めに転じる日立
「私が社長に就任した当時は3年連続の最終赤字で、まずは“出血”を止めることが最優先だった。そのためには、会長と社長を兼務することで速やかな意思決定を下す必要があった」(日立 川村会長兼社長)。“止血”を終え、守りから攻めに転じるための社長交代と川村氏は言う。
中西新社長は日立グローバルストレージテクノロジーズの業績を回復させた実績を引っさげて就任する(写真1)。「今後海外向けの売上比率を、現状の40%から、50%、60%へと拡大していく」と、抱負を語った。
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「昨年は緊急事態対応だった」と川村会長兼社長は振り返った。川村氏は2009年3月16日に日立の会長兼社長に就任。日立本体の役員からの昇格ではなく、日立プラントテクノロジーと日立マクセルの会長だった。就任時点で69歳という年齢もあわせて、これまでの日立の社長人事にはあまり例のない、変則的な就任だった。2009年3月期に7873億円という巨額の赤字に陥ったことを受けての社長交代と受け止められた。
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富士通の新社長は56歳、歴代2番目の若さ
富士通の新社長となる山本氏(写真2)は、一貫してワープロやパソコン、携帯電話、サーバー、ストレージなど、製品の設計・開発にかかわってきた。
年齢は56歳。歴代社長の中でも55歳9カ月で社長に就いた山本卓眞氏に次いで2番目に若い。若さが山本氏を選んだ大きな理由の一つだったという。
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現会長兼社長の間塚道義氏は2009年9月25日、前社長の野副州旦氏の突然の辞任を受けて社長を兼務した。間塚氏が「影響を最小限にとどめるために社長に就いた」と語ったように、緊急避難的な就任だった。富士通では野副氏が辞任した理由は同氏の健康問題であるとしている。
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