省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)や東京都の環境確保条例など、環境対策に関連する法規制が強まり、その対象になる企業が増えている。ただ、エネルギーの使用状況を管理するために、新たなサーバーを導入しては“本末転倒”にもなりかねない。そんな中、よりエネルギーの利用効率が高いクラウドコンピューティングを利用したサービスが登場している。

 2010年4月から、省エネ法では、年間のエネルギー消費量が原油換算で1500キロリットル以上の企業が対象になる。これは、コンビニエンスストアなら30~40店舗、ファミリーレストランなら15店舗程度、ホテルでは300~400室の規模に相当する。これまでは事業所単位に1500キロリットル以上だったため、対象企業は一気に増えることになる。

 対象企業は、エネルギーの使用量を毎年度、経済産業省へ報告しなければならない。そのほか、年平均1%以上のエネルギー消費削減が目標として設定される。 鳩山政権が「25%削減」を掲げることもあり、法規制強化の傾向は強まる可能性が高い。企業は、社内のエネルギー消費量を効率よく把握し、報告できる仕組みを早期に整備する必要がある。

クラウド使い、環境負荷を軽減

 そんな省エネ法への対策を急ぐ企業を対象にした新サービスが、ネットマトリックスが2010年2月3日に開始した「Green Report」である。企業の営業拠点や店舗の担当者が、毎月の消費電力や燃料使用量などをネットワーク経由でデータベースに登録することで、一元管理を可能にする。

 Green Reportの特徴は、マイクロソフトが提供するクラウドコンピューティングサービス「SQL Azure」を利用していることだ(図1)。利用企業は、自社でサーバーやデータベース管理ソフトを購入する必要がないし、それらIT機器のための消費電力が増加しない。データセンター側で消費されるが、マイクロソフトによるデータセンターの運用効率は、世界的にも高いとされており、グローバルな視点で見れば環境負荷を抑えることになる。

図1●ネットマトリックスの「GreenReport」はクラウドでエネルギー消費量を管理する
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 ネットマトリックスは、このSQL Azure上へのデータベース構築作業を代行する。利用企業のシステム管理者は、クライアント用ソフトを各拠点の環境担当者に配布し、毎月エネルギー使用量を登録するよう指示すればよい。