米Microsoftは、2009年10~12月決算で同社の売上高は過去最高を記録した。だが、ここでの大きなニュースは、むしろWindows 7以外の事業がひどい状況にあるいうことだ。Windows 7があまりにも好調なため、ほかの事業の悲惨さが隠れてしまっている。

Take1:Officeやサーバーが不振、オンライン・サービスは赤字を計上

 米Microsoftが2010年1月28日(米国時間)に発表した2010会計年度第2四半期(2009年10~12月)決算によると、同期中の「Windows 7」ライセンス販売数が6000万本となり、同社の売上高は過去最高を記録した。この要因となったWindows 7が爆発的に売れていることはみなが既に知っていることだ(関連記事:Microsoftの10~12月期決算、「Windows 7」好調で過去最高を記録)。その一方、Windows 7以外の事業はひどい状況にある。

 Microsoftの主要3事業のうち2番目に大きな「Office」事業は売上高、利益とも軟調で、前年同期に比べ落ち込んだ。3本柱の最後の1つ「Windows Server」の売上高は前年同期からわずか2%増にとどまった。

 これらソフトウエア関連事業を除くと、いよいよ本当の惨状が姿を現す。「Xbox」本体とゲームの販売は大きく後退。(Microsoftの将来を担うはずの)オンライン・サービス事業は赤字を計上した。「Windows Live」事業が不振だったように見えないのは、Windows事業と一体化しているだけに過ぎない。少なくとも同期に限ると、Microsoftの「キラー事業」であるWindowsが、ほかの全事業の低迷ぶりを隠しているのだ。

 アップグレードが計画されているOfficeとWindows Serverは、2010年に販売が伸びるだろう。だが、それ以外の事業は果たしてどうなるのだろうか。

Take2:MicrosoftのBallmer氏、またもや中国事業の継続を表明

 数年前(「Don't be evil(邪悪になるな)」というモットーで知られる)米Googleが中国市場へ参入した際に中国政府の検閲を受け入れた。このことが明らかになったとき、間髪を入れずにプライバシ/人権擁護派から非難を浴びた。

 ところが最近になってGoogleは、中国から大規模なサイバー攻撃を受けたことと、中国向け検索事業から撤退する方向にあることを発表した(同社の検索エンジンは中国でシェアを減らし続けているが、撤退とは無関係だそうだ)。これに対しプライバシ/人権擁護派は直ちにGoogleを「勇敢に立ち上がった」と称賛し、非難の矛先を中国に残る米Microsoftなどの企業に向けた(なお、中国はすでに3億人以上のインターネット・ユーザーを抱えている)。

 MicrosoftのCEOであるSteve Ballmer氏は2010年1月の最終週、中国事業を継続するという同社の方針をあらためて表明した(筆者の記憶ではこれが117回目だ)。同氏はブログ記事でセキュリティやプライバシ、検閲といった見当違いの話題をたくさん取り上げてから「中国も含め全世界の事業を重要視している。中国事業に20年以上前から取り組んでいるが、今後も続けるつもりだ。つまり、中国の法律を尊重して活動するという意味である。世界のどこであろうと、事業を展開する企業は例外なく現地の法律に従うということだ」と書いた(関連記事:突如勃発したGoogleの中国撤退問題、そのときMicrosoftは?)。

 簡単にまとめてみよう。人権は魅力的な論点だが、我々は商売をしているのだ。商売をするからには稼ぐ必要がある。