“改善”活動を継続しつつ、ビジネスとシステムの“変革”を促す。IT投資を思うように増やせないため、しばらくは“忍耐”が必要だが、“挑戦”する心は失わない――。日経コンピュータと日経BPコンサルティングがCIO(最高情報責任者)とシステム部長を対象に実施した「景況・IT投資動向調査」から分かった、2010年におけるシステム部門の「決意表明」だ。2010年の決意・展望を表す言葉では、この4つの言葉が突出して多かった(図1)。

図1●2010年の決意・展望を表した言葉(3つまで複数回答)
図1●2010年の決意・展望を表した言葉(3つまで複数回答)

システム部門が業務改革に深く携わる

 2010年のシステム部門の役割はどのように変わっていくのだろうか。2010年のシステム部門増について、各設問ごとに「思う(同意する)」「思わない(同意しない)」の二択で聞いた結果を図2に示す。

図2●2010年のシステム部門像
図2●2010年のシステム部門像

 「思う」の割合が半数を上回ったのは、「業務改革により深く携わる」(78.1%)、「システムのライフサイクルが長くなる」(72.7%)、「運用・保守の内製化比率が高まる」(54.5%)、「企画・開発の内製化比率が高まる」(53.7%)、「経営戦略・立案に携わる」(53.3%)の5つだ。

 一方、ビジネス指向の情報化を推進するために「業務部門の人事交流が活性化」(思うという回答が42.1%)や、クラウドコンピューティングなどの活用で「システムを持たない傾向が強まる」(同40.9%)、「オフショア開発を手がける」(同23.6%)、「システム部員が増員される」(同16.9%)という回答は少数派だった。

ITベンダーに求めるのは「コスト削減策」

 システム部門に求められる役割や機能は、より業務指向、よりビジネス指向になっていく。とはいえ、IT予算を増やせないため、ユーザー企業がITベンダー(システム開発・運用事業者)に求めるのは、やはり「コスト削減策」である(図3)。最も多かったのは「保守・サポート費用の値下げ」(84.4%)だった。

図3●システム開発・運用事業者への要望要望(3つまで複数回答)
図3●システム開発・運用事業者への要望要望(3つまで複数回答)
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 これに続いたのが、「業界・業務への理解を高める」(66.8%)、「保守・サポート期間の延長」(60.8%)、「開発・運用に関わる技術力の向上」(56.0%)だ。一方、「売上/利益に直結するIT活用提案」(30.0%)や「クラウドなど最新技術・サービスの提案」(28.0%)は少なかった。システム開発・運用事業者がユーザー企業に提案したい内容と、ユーザー企業の要望の間でミスマッチが起きているようだ。

 22.0%と回答は最も少なかったが、CIOやシステム部長の5人に一人が「ビジネスマナーなど社会人としての常識の習得」をITベンダーに求めていた。