米Oracleは2010年1月27日(現地時間)、同社によるSun Microsystemsの買収が完了したと発表した。2009年4月のSunとOracleの両社による合意から、9カ月間にわたった買収劇はついに幕を閉じた()。

 買収に長い時間を要した理由は、欧州の司法当局による調査である。OracleがMySQLを獲得することで、データベース市場で独占的な地位を占め、健全な競争を阻害するのではないかとの懸念が持たれたためだ。MySQLのユーザーはOracleによる支配がMySQLの機能向上を阻害するのではないかと署名を集め欧州委員会に提出したが、最終的に2010年1月20日、欧州委員会は買収を承認する結論を出した(関連記事)。

 欧州委員会の決定を受けOracleはSunの買収を完了。2010年1月27日(現地時間)に会見を行い「すべてのスタックを統合し、顧客に大きな価値をもたらす」(CEO Larry Ellison氏)と表明(関連記事)。またMySQL、GlassFishといったオープンソース・プロジェクトへのサポートを継続すると強調した。

 「2010年の我々のビジョンは1960年代のIBMと同じで、包括的で統合されたテクノロジーを提供することだ」とEllison氏は言う(関連記事)。Sun Microsytemsはプロプライエタリ(メーカー独自)からオープンシステムへというムーブメントを先導し、IBMが支配する時代に幕を引いた。そのSun Microsytemsの単独企業としての終わりは、新しいIT産業の形を模索する次の時代の始まりでもある。

OracleのSun買収を読み解く

「投資継続」を繰り返し顧客の不安解消狙うオラクルのサン統合戦略

オラクルのエリソンCEOはなぜ“打倒IBM”にこだわるのか

混乱突きIBMとHPがサン顧客獲得 DB支配でオラクルの買収に暗雲も

サン買収で総合ITベンダーに オラクルはIBM、富士通に圧力与える

OracleのSun買収がOSSに持つ意味

サンを買うのはオラクル、クラウド時代の総合ベンダーの勝算は?

オラクルのサン買収で、オープンシステム時代は終わる?

素朴な疑問、オラクルはなぜサンを買収したのか

Sun買収により,3年越しでMySQLを手に入れたOracle

表●OracleによるSun買収の経緯
2010年 1月 [続報]「全スタックを提供し大きな価値をもたらす」オラクルのエリソンCEO
[速報]「1社ですべてを提供できるのは当社だけ」、サン統合戦略発表会でオラクル社長が断言
オラクルのサン買収を欧州委員会が承認
2009年 12月 Oracle,ECの懸念払拭を狙い,MySQLに関する取り組みを明示
11月 OracleのSun買収計画,EU当局が12月10日に聴聞会開催か---英メディア報道
Oracle-Sun買収計画,ECの長引く調査に米上院議員が迅速な決定を要請
日本オラクル、サンと共同開発したDBアプライアンスの国内販売を開始
10月 Sun,全世界で最大3000人を削減へ
9月 米オラクルが米サンとの統合に先行し、第一弾ハードを発表
OracleのSun買収計画,ECが詳細な調査へ,最終判断は来年1月
8月 OracleのSun買収計画,米司法省が承認,ECの判断待ちへ
7月 Sun,Oracleによる買収案を株主総会が承認
6月 Sun,Oracleによる買収計画の株主投票を7月16日実施へ
5月 Sun株主が3件の集団訴訟,Oracleによる買収計画に異議
「ハード事業は売却しない」、米オラクルのエリソンCEOが明言
4月 「役目を果たす用意がある」---Sunを離れた“MySQLの父”がOracleに提案
[速報]オラクルが74億ドルでサンを買収
3月 サンがIBMとの買収交渉を再開か、米メディアが報じる
サンがIBMとの買収交渉打ち切り,米メディアが報道
IBMのサン買収交渉が最終段階,価格引き下げと米紙報道
IBMがサンと買収交渉、米紙が報道