米Microsoftは2010年1月の第4週、ひそかにエンターテインメント&デバイス(E&D)事業ユニットの再編を実施した。「Windows Mobile」「Windows Media Center」「Zune」「MediaRoom」「Xbox 360」といった、精彩に欠ける製品を担当している事業部門だ。大がかりな組織再編でないものの、同社がかつて約束した「複数の消費者向けオンライン・サービスを統合する」姿勢を具体的に示した。

 Microsoftはこの再編に先立ち、E&D事業ユニット内でXboxおよびWindows用ゲームを専門的に手がけるインタラクティブ・エンターテインメント事業グループの存続を決めた。この事業ユニットには、Windows Media CenterとZune、MediaRoomを担当するテレビ/ビデオ/音楽事業グループもある。

 さらにMicrosoftは、インタラクティブ・エンターテインメント事業グループおよびテレビ/ビデオ/音楽事業グループと連携して活動するE&Dサービス・インフラ・チームを新設した。目的は、同社が以前から掲げている「メディアとその他コンテンツの統合」という方針を実現することである。現在Microsoftは、「Zune Marketplace」と「Xbox Live Marketplace」だけでなく、人気のない「Games for Windows Live」や各種パソコン向けサービスなど多種多様なサービスでコンテンツを提供している。ある報道はMicrosoftを「予想より素早く行動を起こしている」と評価したが、そのようなことはない。はるか昔の約束を果たそうとして、やっと重い腰を上げたのだ。

「Windows Mobile」はどうなる?

 今回の組織再編では、インタラクティブ・エンターテインメント事業グループだけが生き延びた。Microsoftが自ら手がけているデジタル・メディア製品(Media CenterやZuneなど)は同グループに取り込まれ、MediaRoomは別の事業グループの主要製品となる。そしてテレビ/ビデオ/音楽事業グループは消える。Microsoftによると、解体された同事業グループを率いてきたEnrique Rodriguez氏は「今後のキャリアを検討中」だそうだ。恐らく同氏はMicrosoftを去って、二度と戻らないだろう。

 ところでこの変化はWindows Mobileにどう影響するだろうか。Microsoftは詳しい情報を出していないが、重要な次期メジャー・バージョン「Windows Mobile 7」を開発中なのだ。「Windows Mobileの担当部署はE&D事業ユニットから切り離され、より大きなWindows部門に組み込まれる」という見方がある。これに対し筆者は、そのような組織変更は今すぐ行われない。コンピューティング環境の中心は、将来パソコン以外のデバイスとWindows Mobileのようなソフトウエアが担う、と考えている。MicrosoftがWindows Mobileを成功させたいと真剣に願うなら、米Appleや米Googleなどとの競争にさらして悲惨な状況を招いた責任者からWindows Mobileを取り上げなければならない。