UQコミュニケーションズの基地局数が急拡大している。2段階定額プランの発表会で同社の田中孝司社長は,「月1000局に迫る勢いで基地局を建設できるようになった。2010年3月末には7000局を超えるのではないか」と豪語した(関連記事)。

 この数字は,現在8000局強の基地局を持つイー・モバイルに肉薄するもの。続けて田中社長は「早い段階で他社(イー・モバイル)の基地局数を抜ける」との自信を見せた。

 UQが急ピッチで基地局を設営できるようになったのは2009年10月以降。開業した7月からの3カ月間は,「一部の基地局設備にロット障害があり,障害対応に手間取って思うようにエリアを展開できなかった」(田中社長)からだ。障害対応が一段落し,基地局設営プロセスを改善したことから急ピッチの建設が可能になったという。

 UQの契約数は,9月末時点で2万1700にとどまる。これまではエリアが狭く,つながらない場所が多かったことも伸び悩みの原因と言える。エリア拡大は同社にとって喫緊の課題だ。

 田中社長の発言からも分かる通り,同社は同じ高速モバイル通信に注力するイー・モバイルをかなり意識している。とはいえ契約数が200万を超えたイー・モバイルとUQには依然として大きな開きがある。基地局数がイー・モバイルを超えたとしても,エリアの広さが超えるとは言い切れない。1.7GHz帯を使うイー・モバイルと2.5GHz帯を使うUQでは周波数特性が違うし,置局設計によってもエリアの広さは左右されるからだ。

 ただ,急ピッチで基地局を建設するUQに勢いを感じることは確かだ。ユーザーにとっても,モバイル・ブロードバンドの競争が進展することは歓迎すべきことである。