問題

問50 ソフトウェア開発において、構成管理に起因しない問題はどれか。

ア 開発者がバグを定められた手続に従わずに修正したので、今まで動作していたプログラムが、突然に不正な動作をする。
イ システムテストにおいて、単体テストレベルのバグが多発して、開発が予定どおり進捗しない。
ウ 仕様書、設計書及びプログラムのそれぞれが一致していないので、プログラム修正時にソースプログラムを解析しないと、修正すべきプログラムが特定できない。
エ 一つのプログラムから多数の派生プログラムが作られているが、派生元のバグ修正がすべての派生プログラムに反映されない。

テクノロジ系>開発技術>ソフトウエア開発管理技術>構成管理・変更管理

解説と解答

 ソフトウエア開発における構成管理の役割は、システムの開発から運用までの一連の流れの中で、ソフトウエアやドキュメントなどの作業成果物について以下の内容を実施することです。

1.修正を記録する
2.一貫性を確保する(それぞれの成果物の関係における矛盾を無くす)
3.正確な情報を取得し、最新の状態を維持・管理する
4.維持・管理された情報を関係者が利用できるように制御する

 具体的には、開発中のソフトウエアの修正の記録や、バージョン管理などが含まれます。

 それぞれの選択肢を確認しましょう。

 選択肢アの記述について。開発者がバグを定められた手続きに従わずに修正し、今まで動作していたプログラムが突然不正な動作をする原因としては、バグの修正情報が記録・共有されずに本来は必要である関連プログラムの修正が漏れてしまったことが考えられます。これは構成管理に起因する問題です。

 選択肢イの記述について。システムテストにおいて単体テストレベルのバグが多発するのは、個々のプログラムにおけるソースコードの品質の悪さや、単体テストの甘さが原因であると考えられます。構成管理ではソースコードのバージョン管理は行いますが、ソフトウエアの品質そのものは構成管理の対象外であるため、この問題は構成管理に起因しません。

 選択肢ウの記述について。仕様書、設計書、プログラムのそれぞれが一致していない原因としては、ドキュメントの修正が記録されていないなどの理由で、最新の状態になっていなかったことが考えられます。これは構成管理に起因する問題です。

 選択肢エの記述について。派生元のバグ修正がすべての派生プログラムに反映されない原因としては、成果物(派生元プログラムと派生プログラム)の一貫性が確保されていないことが考えられます。これは構成管理に起因する問題です。

 以上より正解は、選択肢イです。

城田 比佐子、関谷 昌太
アイティ・アシスト インストラクタ
ITに関するコンサルティングや教育を実施するアイティ・アシストのインストラクタ。新入社員研修やプロマネ育成研修をはじめ、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験、プロジェクトマネージャ試験などの試験対策研修の実績も豊富。著書に「3週間完全マスター 基本情報技術者 2010年版」などがある。