
2010年1月16日、開発者コミュニティ「日本Androidの会」内のグループ「Androidデベロッパー倶楽部(通称「デ部」)」の第一回ミーティングが都内で開催された。Androidアプリケーション開発経験者を中心に約30名が参加した。
単なる勉強会ではない。実績を持つ開発者が中心となり、本格的なアプリケーションを実際に開発する活動だ。この日の第一回ミーティングではアイデアの披露と議論を軸とした「アイデアソン」を実施。参加者は複数のチームに分かれ、Androidアプリケーションの開発に乗り出した。
著名Androidアプリの開発者が顔をそろえる
この「デ部」は、日本Androidの会のメーリングリストに投稿された「本気でAndroidアプリを作ることを目的とした集まりを作ろう」、との呼びかけをきっかけに発足したグループである。参加資格は、Android Marketでアプリを公開しているか、デバイス関連のノウハウがあるか、UI(ユーザー・インタフェース)デザインに参加できる、というもの。つまり、Androidアプリケーションの開発に手を動かす形で貢献できることが条件である。
厳しいハードルを乗り越えた開発者は約20名(参加者の一覧)。すでに有名なAndroidアプリの開発者も含まれている。iモードメール・クライアント「IMoNi」開発者のえがわ氏と、日本語入力アプリ「Simeji」開発者のadamrocker氏が共同で「デ部」部長をつとめる。グルメガイド「ポケナビ with 羅針盤」(Mashup Awards 5 部門賞受賞作品)の作者Lionas氏、 ARソフト「ウキウキView」の作者で、GoogleのAndroid Developer Challenge 2(ADC2)入賞作「スポットメッセージ」(バンプールが公開、関連記事)プログラミング担当の近藤昭雄氏、Bluetoothすれ違い通信アプリ「すれちがったー」の作者ますいそうすけ氏、ADC2入賞作「FxCamera」作者のやました氏、録音アプリRECOROID(カヤックが公開)プログラミング担当のKaa氏らが参加した。
「女子部」も参加「カッコいいアプリを」
ミーティングでは、一つのサプライズが控えていた。日本Androidの会の女性メンバー有志が集まった「女子部」メンバーが多数参加していたのである。女子部部長でデザイナの矢野りん氏は「カッコいいアプリケーションを作って、女子にモテよう」とハッパをかけた。また、「女子部」で実施したAndroidアプリケーションに関するアンケート結果の報告もあった。
想像するに、「デ部」とは別枠での「女子部」参加の意味は、発想の多様性を増やそう、ということなのだろう。女子部長、矢野りん氏は「女性がいる方が、エコシステムとして健全」と話している。将来想定されるAndroidユーザーの半数は女性なのだ。
5つのチームを結成
ミーティングは、参加者全員の自己紹介、アイデアの披露と議論、開発テーマ設定と作業グループ分け、という順番で進んだ。
披露されたアイデアは、実に多様だった。例えば、Android端末を振ったり傾けたりする動作を検知するライブラリの開発。加速度センサーから取得したデータを学習手法により解析する必要があるだろう、との内容であった。このほか、楽器アプリケーションの構想、音声合成の応用(歌う音声合成アプリケーションなど)、GUI開発支援環境、Bluetoothを使い機器間で通信することに関連するアイデアなどが出た。
これらの議論をまとめ、「エージェント」「モーション(動きの検知)」、「通信(BluetoothやWiFi)」「音」「UI部品」「GUI」の6テーマを選定。チーム分けを行った。ただし「UI部品」は「デザイン部」と協力の上で後日チームを作ることとし、この日は5チームを結成した。
こうして第1回ミーティングは終了した。成果の中からは、Androidアプリケーション・コンテストAndroid Application Award(A3、エーキューブ) 2010 Springに応募する作品も出てきそうだ。女子部メンバーからも「女子部としてA3 2010 Springに応募する!」という宣言も出た。コンテストにとどまらず、デ部の参加者の手によって、Androidの定番となり世界で使われる作品が出てくるかもしれない──そんな期待を抱かせるアイデアソンだった。