「“文化の違い”を感じた。そこで開発の進め方を変えた」----「スポットメッセージβ(以下、「スポットメッセージ)」のプログラミングを担当したブリリアントサービスの近藤昭雄氏は、開発の過程をこう振り返る。
「スポットメッセージ」は、米Googleが主催したコンテスト「Android Developer Challenge 2(ADC2)」Social Networking部門で入賞したAndroidアプリケーションである(入賞作品の一覧)。同コンテストでは30作品が入賞したが、そのうち日本からの応募は2作品だけだ。
スポットメッセージを企画、開発、配布するバンプールは、ゲームソフト開発会社として1999年に創業し、10年にわたり活動してきた会社である。現在、ニンテンドーDS向けなど、ゲームソフトの開発が主な事業だ。「ゲームの次の新分野を開拓したかった」。バンプール ソフトウェア事業部の中村圭三氏は、Androidアプリケーションを開発した動機をこう語る。バンプールの日野綾香氏は「iPhoneではできないが、Androidならできる事」に魅力を感じたと話す。
スポットメッセージのプログラミングを担当したブリリアントサービスは、組み込みソフトウエア開発会社。同社の代表取締役の杉本礼彦氏と、技術部 研究開発課 Android担当リーダ 近藤昭雄氏は、共に開発者コミュニティ「日本Androidの会」の幹事でもある。



ゲームソフトと組み込みソフトという異なる分野で活動していた両者が協力し、1本のAndroidアプリケーションが生まれた。完成したアプリケーションであるスポットメッセージはシンプルだが、そこにはさまざまな思い、試行錯誤の成果が隠されている。
「位置」と結びついたメッセージを実現
スポットメッセージは2009年9月、Androidマーケットで公開された。無料で入手可能である。そして前述のように、2009年12月、Android Developer Challenge 2において入賞している。
スポットメッセージは「位置」と結びついたメッセージを送るアプリケーションである。GPS機能、地図情報を扱えるGoogle Map、Androidが備えるバックグラウンド実行の機能を組み合わせ、実用とも娯楽ともつかない独特の機能を実現した。「リマインダー」にも使えるし、「いたずら」にも使える。
まず、メッセージの送信者は、Android端末の上でスポットメッセージを起動し、メッセージを作成する。Google Mapの機能を使い、メッセージを「置く」場所を地図上で指定し、それにメッセージの文章を付けて登録する。メッセージは、まずはメールを使って受信者に送られる。受信者がメールを受け取った時点でメッセージを読めるようにも設定できるし、一方で指定の場所に到着するまでメッセージ内容を隠すよう設定することもできる。