毎年1月初旬に開催される家電の国際見本市「CES(Consumer Electronics Show)」。今年は7~10日に開催され、盛況に終わったようだ。例年このタイミングに合わせて各社が新製品のプロトタイプなどを一斉に披露するが、今年は米Googleが米国時間1月5日に米国で販売を開始したスマートフォン「Nexus One」の話題で持ちきりだった。時を同じくして米Appleがまもなくタブレット型のマルチメディア機器を発表するとメディアが報道し、CESの会場ではこれに応えるように各社がタブレット製品を披露した。昨年の後半から新製品の発表が相次いでいる電子書籍リーダーも会場を大いににぎわしたと米メディアが伝えている(CNET News)。

電子書籍はあらゆる端末に

 こうした製品は、タッチ機能を備えていたり、タブレット型であったり、3G携帯電話の通信機能を備えていたりとそれぞれ特徴を持つが、その共通点は「コンテンツを共有する携帯型デジタル・デバイス」だということ。そしてこうした機器の登場で、我々のコンテンツ利用の形がますます変化していくという予感がするのだ。

 少し詳しく見てみよう。米MicrosoftはタブレットPC(スレートPC)の1つとして米Hewlett-Packaed(HP)製の機器を披露した。米Amazon.comの電子書籍をパソコン上で読めるようにするソフトウエアを、この機器上で動かすデモを会場で行った。このことは、Amazonの電子書籍が同社のリーダー端末「Kindle」だけでなく、今後登場するさまざまデバイスで利用できる可能性があることを意味している。

画面●Amazon.comのKindle情報ページ。パソコンで電子書籍コンテンツを閲覧できる「Kindle for PC」をダウンロード配布している
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 これはAmazonの尽力によるものだ。同社は昨年、オンライン販売する電子書籍のコンテンツをさまざまな機器で利用できるようにするソフトウエアを開発し無償公開した。その1つにWindowsパソコン用のソフト「Kindle for PC」(画面)があり、Microsoftはこれを使ってデモを行ったのだ。

 Amazonは同様にして、iPhone用のソフト「Kindle for iPhone」を用意しており、今後はMacintoshパソコン用のソフトも提供する計画だ。これらAmazonのソフトの特徴は、購入した書籍の情報はAmazonのサーバーに記録してあり、ユーザーは自分のアカウント・ページにアクセスしてダウンロードできるということ。誤ってコンテンツを削除してしまっても心配御無用。いつでも再ダウンロードできるのだ。

 同じ書籍を異なる機器に同時に保存しておくことも可能で、どの機器でも最後に読んだページの情報を保存する。このためユーザーは機器を切り替えて続きを読み始められる。例えばHPはCESで同社初のマルチタッチ対応ネットブックを発表しているが、こうした新しい携帯機器で書籍コンテンツを楽しめるようになるわけだ。

 Amazonの電子書籍は1つの事例に過ぎないが、コンテンツはこうしてさまざまな機器間で共有されるものとなりつつある。

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