JFE商事で代表取締役専務執行役員を務める吉岡康平氏
JFE商事で代表取締役専務執行役員を務める吉岡康平氏
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 JFEホールディングス傘下で、川鉄商事とエヌケーケートレーディングが2004年に統合して誕生したJFE商事(東京・千代田)。同社は2008年夏から、業務改善プロジェクト「J-SLIM」に取り組んでいる。決裁プロセスの効率化や、2007年に刷新した基幹システム「J-BEAT」の効果的な活用法といった業務改善のアイデアを、現場主導で検討・実行する活動である。

 このJ-SLIMの活動を陣頭指揮しているのが、同社のCIO(最高情報責任者)相当職を務める吉岡康平代表取締役専務執行役員だ。吉岡専務は2004年にJFE商事に赴任するとすぐに、「意思決定が遅い」「決裁承認の印鑑がやたらと多い」などの課題に気づいた。また、社内のコミュニケーションも活発さに欠け、「各社員が自分の城にこもり、壁を作っている」とも感じていた。

 2007年に新たに稼働させたJ-BEATの各種機能、例えば顧客別や地域別、成約案件別、エンドユーザー別など15の切り口で、各事業や商品の収支を正確に把握できる仕組みなども、現場では有効活用できていなかった。「J-BEATをはじめ、社員が活発にコミュニケーションを取るための基盤は整備したものの、魂を入れられていなかった」と吉岡専務は当時を反省する。業務改善などの現場の動きも目立たなかった。

 そこで吉岡専務は、福島幹雄代表取締役社長などの協力を得て、業務改善活動のJ-SLIMを2008年に打ち出す。自らも事務局の事実上のトップに就任した。当初は一部の部署で先行して開始し、2009年5月には全社規模に活動を拡大させた。

 各職場が取り組んだJ-SLIMの初期の活動成果は、2009年11~12月に発表会を開いて横展開を図った。吉岡専務は2010年も活動の旗振り役を務め、少なくとも2010年秋までは活動を継続して、成果を得たい考えだ。

Profile of CIO
◆普段読んでいる新聞・雑誌
・朝日新聞
・日本経済新聞
・鉄鋼新聞
・週刊東洋経済
・ハーバード・ビジネス・レビュー
など

◆最近読んだお薦めの本
・『脱ガラパゴス戦略』(北川史和、海津政信 著、東洋経済新報社)
・『昭和・戦争・失敗の本質』(半藤一利 著、新講社)
・『仕事ができる人できない人』(堀場雅夫 著、三笠書房)
・『差別と日本人』(野中広務、辛淑玉 著、角川書店)
・『居眠り磐音』シリーズ(佐伯泰英 著、双葉社)
・『密命』シリーズ (佐伯泰英 著、祥伝社)

◆ストレス解消法
・ストレスがたまると書籍を買いに出かけます。時代小説・推理小説などをよく購入して読みます。最近では上述の佐伯泰英の時代小説のほか、佐々木譲、今野敏の警察小説、東野圭吾などの推理小説を読みました
・家内との散歩・食べ歩き
・時代劇・探偵ものなどの番組を録画して週末に鑑賞しています