仮想化技術を導入する企業が増えている。情報系を中心に、サポート切れなどで稼働環境が不安定になったアプリケーションの救済や、サーバー統合によるITコストの削減などが目的だ。今後は、基幹系への適用が始まる。そこでは、プラットフォームとしての信頼性をいかに確保するかが焦点になる。

 仮想化技術が、企業情報システムのプラットフォーム(基盤)を支える中核技術として確実に浸透している。PCサーバー上で仮想化を実現するための技術の進展を背景に、新しいハードでは動作保証が得られないアプリケーションの延命や、サーバー統合による稼働率向上といったメリットを獲得する。

 加えて、クラウドコンピューティングの台頭が、仮想化技術の認知度や導入意欲の向上を後押しする。コンピュータ資源を所有することなく、ネットワーク上にプールされた資源を必要なときに必要なだけ利用するという考え方が現実味を帯びてきたからだ。

 企業情報システムにクラウドの考え方を適用すれば、アプリケーション単位にサーバーが乱立するという、いわゆる“システムのサイロ化”を防げる。さらに、コンピュータリソースの調達・運用プロセスを改革できれば、より柔軟かつ俊敏性のあるIT基盤の確立が期待できる。

3分の1超が情報系に導入済み

 仮想化技術の浸透度を調べるために、日経BP社のIT関連専門サイトである『EnterprisePlatform』と『ITpro』が共同で、導入実績や導入計画について調査した。先行導入企業やITの専門家であろうITpro読者107人からの回答によれば、予想通り、「開発用やテスト用」としての導入・検討はすでにピークを過ぎ、「情報系システムに導入済み」の回答も、回答数の3分の1を超える(図1)。

図1●情報系と並行して、基幹系への仮想化技術の導入・検討が始まっている
図1●情報系と並行して、基幹系への仮想化技術の導入・検討が始まっている

 データベースサーバーを除くサーバー環境を仮想化済みとした回答者は、「ハード資源を効率よく利用できている。可用性やバックアップ、再配置の柔軟性のほか、消費電力や設置場所など、これまでの問題点がすべて解消できた」とコメントする。

 今後、仮想化技術が適用されるであろう「基幹系システム」については、導入済みが全体の1割を超える16件、導入検討中も19件あった。仮想化技術は、開発・テスト用から情報系を経て、基幹系へというステップを確実に上っているといえる。