社会基盤の将来像を描き出す――。国内の大手企業22社が2009年末に、「スマートコミュニティ関連システムフォーラム」を立ち上げた。2010年以降に直面する社会インフラの課題を洗い出すのが目的だ。住宅や自動車、電気、新しい情報ネットワークなど六つの領域で、民間主導による社会インフラ整備を急ぐ。

 スマートコミュニティ関連システムフォーラムに参加するのは、エネルギー、自動車、建設、電気機器などを手がける大手企業である。IT分野からは、NTTやKDDI、NEC、グーグルなどが参加する()。これだけ多くの大手企業が集結し、今後の社会インフラのあり方について議論するのは、今回が初めて。2010年6月をメドに報告書または提言集などを作成し、公開する方針だ。事務局は、経済産業省が務めている。

 2010年は国内の社会インフラを見直す動きが活発な1年になるだろう。「2020年までに温室効果ガスを25%削減する」という高い目標を掲げる政府にしても、エネルギー効率がよい社会インフラを構築する必要があり、早急にその準備に着手しなくてはならない。

 次世代社会インフラの代表格といえるのが「スマートグリッド」だ。電力会社の送配電網に加えて、太陽光発電システムや電気自動車(EV)、電気機器などを通信技術でつなぎ、エネルギーを効率的に使用するシステムを構築する。

 スマートグリッドが実現すれば、身の周りの電気製品や交通インフラなどがつながる巨大なネットワークが構築されることになる。そのためスマートグリッドは、「第2のインターネット」などと呼ばれ始めている。

 このスマートグリッドに関しては、政府の研究会や業界団体が、エネルギー政策や自動車産業のあり方などについて個別に議論されてきた。スマートコミュニティ関連システムフォーラムでは、業界の壁を越えて、六つの観点から社会のあり方を含め意見を交わすという。海外市場に向けた、日本のスマートグリッド関連技術を展開することも視野に入れる。