感情を示すアイコンを現実空間に配置

 写真6●ブリリアントサービスの近藤昭雄氏。ARブラウザ「ウキウキView」を発表した
写真6●ブリリアントサービスの近藤昭雄氏。ARブラウザ「ウキウキView」を発表した
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写真7●「ウキウキView」の今後の方向性。ソーシャルメディアの機能を取り入れる
写真7●「ウキウキView」の今後の方向性。ソーシャルメディアの機能を取り入れる
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 ブリリアントサービスの近藤昭雄氏は、2009年11月に開催した組み込み分野の展示会Embedded Technology 2009で初披露した「ウキウキView」(関連記事)について、今後の方向性に関する議論を中心に発表した。

 ウキウキViewは、非常にシンプルな機能に絞り込んだARアプリである。感情(喜、怒、哀の3種類)を示すアイコン「感情玉」を、現実空間に重ねて配置し、オーバレイ表示する。

 今後の開発の方向性として、コメント機能(文章でコメントを残せる)、モデレーション機能(例えば「喜」を付ける人が多いと、感情玉のサイズが大きくなる)、他の情報提供サービスとの連携などについて説明した。例えば、飲食店の感想を、「感情」を前面に出した形で残すなど、独特の使い方が可能となる。

 ウキウキViewのソースコードは、オープンソース・ソフトウエアとして公開する(公開サイト)。またAndroidマーケットでも、ウキウキViewは公開済みである。また、iPhone版も開発中という。

複数プラットフォームをJavaScriptウィジェットで、ハードウエア制御も

写真8●GClue代表取締役の佐々木陽氏。ウィジェット・フレームワーク「droidget」について説明
写真8●GClue代表取締役の佐々木陽氏。ウィジェット・フレームワーク「droidget」について説明
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写真9●ウィジェット・フレームワーク「droiget」の概念。Web技術と端末ハードウエア制御を結びつける
写真9●ウィジェット・フレームワーク「droiget」の概念。Web技術と端末ハードウエア制御を結びつける
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写真10●droigetのアーキテクチャ。Androidは、ハードウエアを直接制御するネイティブ・プログラムと、Java仮想マシン上のプログラムや、JavaScriptによるプログラムが連携しやすい仕組みになっている
写真10●droigetのアーキテクチャ。Androidは、ハードウエアを直接制御するネイティブ・プログラムと、Java仮想マシン上のプログラムや、JavaScriptによるプログラムが連携しやすい仕組みになっている
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写真11●droigetを活用したARのデモ。赤い球状のものがマーカー。手前のAndroid端末の画面上では、マーカーを追尾するカーソルを表示中
写真11●droigetを活用したARのデモ。赤い球状のものがマーカー。手前のAndroid端末の画面上では、マーカーを追尾するカーソルを表示中
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写真12●droigetでロボットを制御するデモ。音響マーカーをロボットが追尾する
写真12●droigetでロボットを制御するデモ。音響マーカーをロボットが追尾する
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 GClue代表取締役の佐々木陽氏は「ar向けwidget framework droidget ar」と題して、同社が開発中のスマートフォン向けウィジェット・フレームワーク「droidget 」について説明し、ARを実現するウィジェットのデモンストレーションを見せた。

 デモ内容は、(1)マーカー(目印)を画像認識し、カメラで撮影した現実空間の上にカーソルを表示して追尾するもの、(2)音響を発するマーカーを認識し、ロボットが追尾するもの、の2件である。これらは、ウィジェットでハードウエアに近いレイヤーまで制御できることを実証するためのデモである。

 同氏は、ウィジェット・フレームワークの重要性を強調する。世界的な動向として、携帯電話上のウィジェットを主要な端末ベンダー、ブラウザ・ベンダー、通信事業者などが展開中であることを説明した。

 同氏の説明によれば、次の世代の携帯電話向けウィジェットの技術は、大きくはJIL(Joint Innovation Lab)とBONDIの2系統に集約できる。両方で動くフレームワークを作ることができれば、非常に大きな端末台数をカバーできることになる。例えば、China Mobileが採用すればそれだけで5億台になる。

 同社は、このようなJavaScriptベースのウィジェット・フレームワークを開発中である。JILやBONDIの仕様、それにAndroidの仕組みをうまく使うことで、JavaScriptで記述したウィジェットから、最終的にはネイティブ・コードで記述したハードウエア制御ロジックにアクセスできるという。「例えば、カメラを制御するURLを作ることも可能だ」(佐々木氏)。

 ウィジェットは、アプリに比べ開発期間が短い。「AndroidアプリはJavaで記述する。一方、ウィジェットはJavaScriptで開発する。開発期間を、例えば数カ月から数週間に短縮することが可能だ」(佐々木氏)。

 しかも、ウィジェットのマーケットは、Symbianプラットフォーム上などにすでに存在する。他のウィジェット販売の仕組みが今後登場することが予想されると、同氏は説明する。

 ウィジェット・フレームワーク「droidget」は、将来の公開を目指し開発を進めている段階である。日本国内のソフトウエア・ベンダーの中から、このような野心的な試みが出てきたことは注目したい。


◎関連リンク
日本Androidの会2009年12月のイベント 講演資料(日本Androidの会)