「国際会計基準(IFRS)」の適用が現実になってきました。しかし、その全体像をつかむのは容易ではありません。「内部統制.jp/IFRS」サイトの特集「キーワードで理解するIFRS」で最も注目を集めた5つのキーワードを軸に、IFRSにかかわる2009年の動向を見ていきます。
IFRS
2009年は日本企業にとって、IFRSが一段と現実のものとなった年だった。これまで進んできたコンバージェンスに加え、アドプション(全面適用)のロードマップが示されたからだ。
金融庁は6月11日に「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)」を公表。ここでアドプションについて、2012年に適用するかを判断し、適用を決めた場合は2015年または2016年に開始するというロードマップを示した。さらに12月11日には、IFRSの任意適用についての内閣府令を公表した。条件を満たす企業は、2010年3月31日以降に終了する事業年度からIFRSを適用できることを明確にした。
◎「2015年から段階適用の可能性も」、金融庁がIFRS適用の中間報告公表
◎IFRS任意適用の条件を金融庁が公表、時期は10年3月期からに決定
IFRSのアドプションが現実化するにつれて、製品やサービスを提供するIT企業の動きも活発化している。
包括利益
IFRSに次いで注目を集めたキーワードは包括利益である。当期純利益に「その他包括利益」を加えた包括利益は、まだ日本企業にとって馴染みが薄いが、2011年3月期から上場企業に開示を義務付ける見込みだ。
工事進行基準
IFRSへのコンバージェンス項目の一つである工事進行基準は、2009年4月以降に始まる事業年度から適用が義務付けられた。収益認識の違いから進行基準の適用が不可能になる可能性も取りざたされたが、現状では継続して適用できる方向で議論が続行している模様だ。
◎「受託開発の扱いを明確に」,JISAが工事進行基準とIFRSの関係で意見書
原則主義
原則主義は「BS重視」などと並んで、IFRSの主要な特徴を表すキーワードである。日本の会計基準はどちらかと言えば細則主義であるため、日本企業に対するインパクトは小さくないとみられる。
収益認識
IFRSを適用すると、収益認識すなわち「どのような要件を満たした場合に収益を計上するか」にも変更が迫られる。情報システムに対する影響も大きい。