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情報システム

2009年のヒット商品を支えたIT

日経コンピュータ

SNSをベースに携帯ゲームを開発

グリー 代表取締役社長 田中良和氏

2009/12/25


 グリーが提供するSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)「GREE」は、会員数1500万人を超えるヒットサービスとなった。釣りゲーム「釣り★スタ」やペットゲーム「踊り子クリノッペ」などSNS会員間で交流しながら遊べる携帯電話用ゲームが人気を集め、積極的な広告宣伝活動も功を奏した。GREEのサービス開発などを、田中良和社長に聞いた。(聞き手は中井奨=日経コンピュータ)

写真●グリーの田中良和代表取締役社長(写真:柳生貴也)
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グリーにとって、2009年はどんな年だったか。

 2008年12月に東証マザーズに上場して以来、サービスを改善し積極的なプロモーションを展開した。その結果、GREEの会員数は2009年1月から9カ月間で700万人も増加し、幅広く利用される1年になった。PV(ページビュー)の98%は携帯電話からのアクセスだ。

携帯電話用ゲームがヒットをけん引した。サービス開発の方針は。

 今の流行に追随するのではなく、常に3年先、5年先を見てサービスを開発している。我々がSNSやモバイルサービスの開発に着手し始めた当時も、ほとんど注目されていなかった。他社からは「なぜそんな儲からないサービスをやるのか」と、疑問に思われるくらいだった。

 例えば、2004年に個人でSNSを始めたのは、既に米国で展開されていたサービスが日本にもあればいいと思ったからだ。周りからは、「人間関係は公開するものではない」とか「日記は人に見せるものではない」とかいろいろ言われた。モバイルサービスにシフトしたときも、「着メロのようなサービスをやりたいのか」とか「ゲームなんて作ってどうするんだ」と言われた。多くの人たちが否定的な見方をしても、自分たちが信じて作り続けた結果、ヒットが生まれるのではないだろうか。

「3年先、5年先を見る」とはどういう意味か。

 占い師のように、未来を予想してピタリと当てるということを言っているのではない。今起きているさざ波のような変化に気付き、3年後、5年後を予測しながら動くということだ。我々がモバイルサービスにシフトしたのも、これからはインターネットはPCよりもモバイルでの利用が進むと思ったからだ。

 その根拠はいくつかある。例えばニンテンドーDSが登場し、据え置き型よりも携帯型のゲーム機に人気が移っていった。それを見て、これと同じことが、インターネットの世界でも起こると直感した。総務省が当時発表した統計資料に、PCからのインターネットのアクセスが横ばいであるのに対して、モバイルからのアクセスが増加していた。こうした状況を見ながら、これから成長するのはモバイルだと思い、サービス開発に注力した。

携帯電話用ゲームが人気となった理由をどう見ているのか。

 我々が提供する携帯電話用ゲームは、パッケージ製品として売られているゲームとは似て非なるものだと思っている。我々が目指したのは、ゲームそのものを楽しむというよりも、ゲームを通じてコミュニケーションを楽しむということだ。ゲームの開発というよりも、むしろインターネットの掲示板を作る方に近い。

 当初は一人で遊ぶためのFlashゲームのようなものも作った。しかし、元々提供してきたSNSというサービスの特性を生かし、仲間同士がコミュニケーションしながら楽しめるゲームを目指した。そうして生まれたのが、クリノッペや釣り★スタである。

 我々は携帯電話用ゲームを、自社内で開発している。しかも、開発者にはゲーム業界出身者はほとんどいない。

最初は誰でも初心者、経験は必須ではない

ゲーム業界の経験なしに、どうやって人気ゲームが作れたのか。

 根本的に、経験がなければできないことはほとんどないと思う。私だって、経験があってSNSやモバイルサービスを始めたわけではなかった。

 インターネットの世界は、10年前は経験がない人がほとんどだった。それでも勉強して身に付ければよかった。私も楽天に在籍していたときに、ある日突然プログラミングをやってみないかと言われて、Webサイトや本から勉強した。経験があるということよりもむしろ、できなかったことができるようになることの方が重要だ。今人気がある携帯電話用ゲームだって、ゲーム開発経験が少ない開発者が、勉強を重ねて生み出すことができた。

SNSもモバイルサービスも、競争が激しくなった。

 経営者として、もちろん競合他社のことは最低限知っている。しかし、他社を研究したからといって、優れたサービスを生み出せるとは限らない。3年後、5年後にユーザーのニーズがどう変わるのかを見て、我々自身が独自の視点を持つべきだと考えている。

 競合の間で類似したサービスが登場することについては否定しない。物事を参考にして作ることは法的にも禁止されていないし、世の中のためにも良いことだと思う。ただ、コピー商品は法的に認められないことだ。合法的な範囲内で競争し、より良いサービスを作っていきたい。

近い将来グローバル進出も

3年後、5年後に向けて今考えていることは何か。

 最近、PC版のサービスを強化したところだ。モバイル向けサービスが軌道に乗っているのに、なぜ今さらPCかと思われるかもしれない。

 もちろんこれからもモバイルは力を入れていく分野だ。しかし、PCはこれからも使われ続けていく。我々は日本中のすべての人にGREEを使ってほしいので、PC版も引き続き作り続けていく。

 リアルタイムサービスも始めている。Twitterのようなサービスが登場し人気を集めているが、リアルタイムサービスの波はまだまだ始まったばかりで、可能性は大きいと感じている。ただ、Twitterと同じサービスを作るつもりはない。我々自身が、ビジョンを描いて独自のリアルタイムサービスを作っていく。

これからもサービスの核は「コミュニケーション」か。

 今はSNSや携帯電話用ゲームを手掛けているが、これから先ずっとこだわり続けるかは分からない。ただし、インターネットを通じて世の中を変えていこうという姿勢だけはこれからも変わらない。

今後の事業目標は。

 短期的にはGREEの会員数を3000万人に増やしたい。中長期的には、グローバル展開を目指す。グローバルのビジネスはそう遠くない未来に始めたい。

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