「どこまで行っても1000円」――。2009年に始まったETC休日特別割引により、高速道路の渋滞が激しくなる傾向が強まっている。その渋滞をできるだけ正確に予測し利用者に伝えられれば、利用日時の分散が期待できる。関東地方の高速道路を運営するNEXCO東日本(東日本高速道路)では、渋滞の予測精度を高めようと、渋滞実績データの分析や、高速道路の状況をリアルタイムに把握する仕組みの整備を進めている。

 NEXCO東日本によれば、2009年上半期に休日の交通量は前年比111~150%に増加した。休日の渋滞回数も、08年上半期の319回から09年上半期は1160回と約3.6倍に急増している。

 2009年度の年末年始の渋滞予測を、国土交通省や日本高速道路保有・債務返済機構などが09年12月4日に発表した。下り線では12月29日と30日、そして10年1月2日に、上り線は10年1月2日と3日に、渋滞が多数発生するという。

 特に30キロメートル以上に及ぶ渋滞は、上り線の1月2日と3日に集中し、計9回発生すると予測する。NEXCO各社は、1月2日と3日を避け、休日特別割引が適用される1月4日と5日に高速道路を利用するよう呼びかける。

 NEXCO東日本では、このような渋滞予測をWebサイトやパンフレットなどで「渋滞予報」として公表している。6カ月先まで実施し、2カ月前に見直した結果である。NEXCO東日本の原山哲朗渋滞予測士は、「渋滞予報を確認し、渋滞を回避してほしい」と話す。

図1●渋滞予測システムが表示する渋滞実績データの例
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 この渋滞予測の基となっているのが、「渋滞予測システム」が表示する過去3年間の渋滞実績データである(図1)。縦軸に時間、横軸に高速道路の行程を取っている。過去3年間の渋滞実績を表示すると、共通する渋滞個所や時間帯が見えてくる。

 渋滞は、自社開発した、このアプリケーションを使いながら予測する。もちろん、正確に予測するのは簡単ではない。原山渋滞予測士は、「休日特別割引は今年からなのでそれを考慮しているつもりだが、時間帯まで予測するのは難しい」と話す。