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Androidをビルドする

 では,Androidのソースをダウンロードし,ビルドしてみよう。Ubuntu上でAndroidのエミュレータを起動し,疑似体験できる。Ubuntu 8.10を用いて作業する。Ubuntu 8.04でも同様に可能なことを確認済みだ。ただし,Androidのオープンソース版では,先行してバイナリ提供されていたAndroid SDKと異なる点がいくつかある。最も違う点は,地図検索サービスの「Googleマップ」を利用するライブラリが含まれていないことだ。地図や「ストリートビュー」と連携するアプリケーションは,オープンソース版では動作しない。Android SDKのエミュレータを使う必要がある。

 まず,次のツールを用意する。バージョン管理システムの「git 1.5.4」以上,開発環境の「Python 2.4」以上,Java開発環境の「JDK 5.0 update 12」以上,の3つだ。

 Ubuntuではgit-coreをインストールする。Ubuntu 8.04以上ではgit 1.5.4が入っているが,筆者が何度か試した結果,新しいバージョンを使用した方が安定してビルドできるので,kernel.orgのソース・コードからビルドしてインストールする。まず,ホーム・ディレクトリでソース・コードをダウンロードして解凍する。

$ wget http://www.kernel.org/pub/software/scm/git-core//git-1.5.6.tar.bz2 Enterキー
$ tar jxvf git-1.5.6.tar.bz2 Enterキー
$ cd git-1.5.6 Enterキー

 gitをビルドする前に,ビルドに必要な「zlib.h」がUbuntuには入っていないので,次のように管理者権限でインストールする。

$ sudo apt-get install zlib1g-dev Enterキー

 次にgitをビルドする。GUIを構成する「Tcl/Tk」パッケージはここでは不要なので,使用しない設定でビルドを実行する。

$ ./configure --with-tcltk=no Enterキー
$ make Enterキー
$ sudo make install Enterキー
$ cd Enterキー
$ git --version Enterキー

 続いてJDKをインストールする。git1.5.6ディレクトリに戻って,インストールを実行する。

$ cd git-1.5.6 Enterキー
$ sudo apt-get install sun-java6-jdk Enterキー

■編注
雑誌掲載時、サポートしているJDKは「JDK 5.0, update 12以上」だったが、現在は「JDK 5.0, update 12以上。Java 6は@Overrideの非互換性のためサポートしていない」に変更されている。JDK 5.0を使用する場合、コマンド中の「sun-java6-jdk」を「sun-java5-jdk」に変更する。詳しくはAndroid公式サイトの「Get source」を参照。[2010/02/16 14:49]

 途中で,ライセンスへの同意を求める画面が出るので,タブ・キーで操作して「yes」と入力する(写真2)。これで,ツール類の準備が整った。

写真2 JDKをインストールする際のライセンス合意画面
写真2 JDKをインストールする際のライセンス合意画面
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