データセンターの「サービスコンシェルジュ」。NTTコムウェアが提供するデータセンターサービスにおいて、顧客の要望を基にサービスの企画から、提案、構築、運用の一切を取り仕切るのが役割だ。NTTコムウェアのデータセンター事業は、NTTグループ向けシステムの構築・運用ノウハウを切り出したもの。そのデータセンター事業を支えるサービスコンシェルジュが、どんな姿勢で仕事に取り組んでいるかを紹介する。(日経コンピュータ)

 みなさん、はじめまして。NTTコムウェアに勤務するエンジニアの標(しめぎ)千枝です。2004年に入社し、IT業界で働くようになって5年強が過ぎました。2009年7月からは、NTTコムウェアの米国支店カリフォルニア事務所に勤務し、新しい仕事に取り組んでいます。

 今取り組んでいるのは、米国発の新技術・新サービスの情報を収集し、日本の本社組織に提言することです。米国支店と本社が連携して、新たなビジネスやサービスの創出につなげるのが目的です。つまり、まだ具体的に誰の役に立つのか、どう変身を遂げるのか分からないビジネスの種を探し出す仕事です。

 ちなみに、NTTコムウェアでは、米国支店としてカリフォルニア(シリコンバレー)とボストンに事務所を置き、東西両海岸で最新情報を収集しています。ボストン事務所はマサチューセッツ工科大学(MIT)のそばにあり、MITとの共同研究も実施しています。米国に事務所があるNTTグループ企業と協業することもあります。

 今の仕事に取り組むに当たり、私のより所になっているのが、これまでの4年間ほど担当してきた「サービスコンシェルジュ」という仕事です。当社のデータセンターで提供するホスティングサービスを、企画から提案、構築、運用(お客様対応)までを担当する役割です。この仕事を通じて、私は多くのものを学びました。その内容をまとめてみましたので、IT業界で働くみなさんにも、何らかの参考やヒントになれば幸いです。

場面に応じた「見せ方」を選択

 サービスコンシェルジュは、お客様が持つ漠然とした要望に対し、最適なサービスを提案することで、その要望を実現するための「お客様とサービスをつなぐ」役割を担っています。

入社してからすぐは、技術部門で基本的なITスキルを身につけることに努め、2年目からサービスの企画や提案を担当するようになりました。お客様の「こんなことがやりたい」「会社でこういう方針だ」といったことを会話の端々などからも引き出すのはもちろん、それを実現するための技術的な仕様検討、サーバーやネットワークのパラメータ設定までも、こなさなければなりません。

 提供するサービスの中には、お客様のITインフラを構築することもあります。その使い方はお客様によって様々です。お客様の業種や担当部署も様々ですし、経営企画などITが専門ではない方や、情報システム担当のように専門的な方もおられます。

 サービスコンシェルジュとしては、お客様の部署や目的によって、サービスの見せ方を意識的に考慮するようにしていました。特に気をつけていたのは、用語の使い分けと、話の順番と内容、そして表情です。

 特に、ITに詳しくないお客様のヒアリング時は、資料も話す言葉も専門用語が入らないように気をつけます。資料は、レビュー時にチェックします。お客様がITに詳しい方である場合は、逆にIT用語を使うことを好まれる場合も多いので、ある程度の用語を取り入れるなど、つど調整していました。仕様検討など技術的な話の場合は、専門用語を多少入れ込むことが技術面での信頼を得ることにつながることもあります。