問題

問19 要件定義プロセスに含まれる作業はどれか。

ア システム化計画の作成と承認
イ システム詳細設計の実施
ウ システム投資効果とシステム化費用の予測
エ システム利用者のニーズの整理

ストラテジ系>システム戦略>システム企画>要件定義

解説と解答

 ソフトウエアには,企画から開発,運用・保守,廃棄までを含む一連のプロセスがあり,このプロセスのことを「ソフトウエアライフサイクルプロセス(SLCP:Software Lifecycle Process)」と言います。標準的なソフトウエアライフサイクルプロセスを規定したものに共通フレーム2007があり,ここではソフトウエアライフサイクルを,企画プロセス,要件定義プロセス,開発プロセス,運用プロセス,保守プロセスの五つに分類しています。

 それぞれのプロセスの内容は,以下のようになります。

●企画プロセス:経営事業の目的,目標を達成するために必要なシステム化の方針と,そのシステムを実現するため実施計画を得るプロセスです。経営戦略や情報システム戦略に基づいてシステム化構想とシステム化計画を立案して,対象業務を分析し,各システムの開発順序,概算コスト,投資効果などシステム化の全体像を明らかにします。

●要件定義プロセス:新たに構築する業務,システムの仕様を明確にし,それをベースにシステム化の範囲とその機能を具体的に明示し,これらの内容についてシステム取得者側の利害関係者間で合意を形成するプロセスです。利害関係者の要求項目を分析し,ニーズを整理して要求仕様書にまとめ(要求分析),それをベースにシステムや業務全体の枠組み,システム化の範囲と機能を明らかにします(要求定義)。

●開発プロセス:システムやシステムを構成するソフトウェアに求められる要件を定義し,それを実現するためのソフトウェアを開発するプロセスです。システム要件定義,システム方式設計,ソフトウェア要件定義,ソフトウェア方式設計,ソフトウェア詳細設計,テスト,ソフトウェア導入,ソフトウェア受入れ支援などの作業が行われます。

●運用プロセス:開発した情報システムを,利用者の本番環境で運用するためのプロセスです。運用テスト,業務およびシステムの移行,システム運用,利用者教育などの作業が行われます。

●保守プロセス:対象業務やシステム環境の変化に対応するために,情報システムの維持,改善,機能拡張などを行うプロセスです。

 以上を踏まえて,それぞれの選択肢を見てみましょう。

 選択肢アの「システム化計画の作成と承認」および選択肢ウの「システム投資効果とシステム化費用の予測」は,企画プロセスにおいてシステム化計画を立案するときに行われる作業です。

 選択肢イの「システム詳細設計の実施」は,開発プロセスに含まれる作業です。

 選択肢エの「システム利用者のニーズの整理」は,要件定義プロセスにおいて要求分析を行うときに実施される作業です。

 以上より正解は,選択肢エです。

小倉 美香(おぐら みか)
アプリケーションデザイナー 代表取締役
情報サービス会社の勤務を経て,1998年より現職。保持する資格は,プロジェクトマネージャ,テクニカルエンジニア(ネットワーク),同(情報セキュリティ),基本情報技術者など多数。著書に「3週間完全マスター ITパスポート 2010年版」などがある。