写真1●ITpro EXPO 2009 仮想化パビリオン内のネットアップ・ブース
写真1●ITpro EXPO 2009 仮想化パビリオン内のネットアップ・ブース

 エンタープライズ部門でITpro EXPO AWARD 2009を受賞したネットアップのFASシリーズは,仮想ボリュームを動的に再構成することでシステム統合を支援するストレージシステム。展示会場では,FASシリーズとシスコのデータセンター向け統合システムUCS(Cisco Unified Computing System)およびFCoE(Fibre Channel over Ethernet) 対応スイッチとを組み合わせたデモを披露した(写真1)。

 「FCoEをネイティブで装備したストレージ製品は,国内市場ではFASシリーズが初めて。シスコのUCSと連携したデモも,国内の商用展示会ではITpro EXPOが初の試みだ」と,マーケティング部 シニアマネージャの瀧川大爾氏はアピールする。FCoEはイーサネット上でファイバ・チャネルをカプセル化する技術で,コストや運用管理の面から普及が期待されている。

 シスコとネットアップは,データセンター向けのソリューションで提携関係にある。シスコは,データセンターのシンプルで効率的な運用を目指し,サーバーやネットワーク,ストレージ,仮想化機構を1つのシステムに統合したUCSを提唱。ネットアップは,同社のストレージシステムにおいてFCoEを含めたプロトコルでのUCS利用を可能にするべく,両社共同で相互運用性の検証を行っている。ITpro EXPOのデモは,その成果の一つを披露したものだ(写真2)。

写真2●注目を集めた「FASシリーズ」の動態デモ
写真2●注目を集めた「FASシリーズ」のデモ
展示ブースでは,ストレージシステム「FASシリーズ」と,シスコのデータセンター向け統合システムUCSやFCoEスイッチとを連携させるデモを披露した。
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ストレージの効率利用とデータ保護機能で仮想化を支援

 「FASシリーズの特徴は,仮想化によるシステム統合を支援する様々な機能にある」と,瀧川氏は説明する。

 例えばデータ保護機能。パリティの二重化である「RAID-DP」(RAID-6)の採用により,RAID-10の半分ほどのコストで同等のパフォーマンスを実現しているという。そのうえで,Snapshot機能を活用することで,バックアップ時間を数秒単位にまで短縮,さらに重複排除機能により最大で9割の仮想化環境の容量圧縮が可能という。

 障害時のデータのリカバリについても,Snapshotイメージからのリカバリ機能を使えば,秒単位で特定時刻のデータリカバリ処理が可能になるほかDR(ディザスタリカバリ)にも対応する。こうしたデータ管理機能は,GUIツールのSnapManagerで設定,管理できる。

 また,ストレージ専用OS「Data ONTAP」に独自技術を組み込み,ストレージの利用効率を高めている。「FlexVol」は,仮想ボリュームによる容量をリクエストに応じてオンラインで柔軟に拡大・縮小する技術で,シン・プロビジョニングなどの派生技術にも対応している。物理的に少ないストレージ容量を仮想的に大きく予め割り当てておき,物理的に必要になったときにオンラインで拡張することができるため,ストレージの初期コストの削減にも役立つ。

 FASシリーズは,ハイエンドモデルの「FAS6000」シリーズ,ミドルレンジモデルの「FAS3100」シリーズ,エントリーモデルの「FAS2000」シリーズがある。すべてNFS,CIFS,iSCSI,Fibre Channelの各プロトコルに対応。「2050シリーズ以上のモデルでFCoE対応となっており,すでに販売を開始している。UCSとの連携により,ユーザーの仮想化によるシステム統合をさらに支援していきたい」と,瀧川氏は意欲を見せる。