■「Returnil Virtual System」はシステム・ドライブに行われる変更をあらかじめ設定した保護領域に保存することで,システムを保護するツールである。利用中に実行されたシステムへの変更は,再起動時にすべて破棄可能である。
■システム領域を簡単に仮想化できるので,新しいソフトウエアの評価などの際に役に立つ。

■ソフト名 Returnil Virtual System 2010(バージョン3.0.6517.4958-REL)
Win7VistaXP20082003
日本語
■開発 Returnil(CJSC Returnil Software)
■URL http://www.returnilvirtualsystem.com/(ダウンロードはhttp://www.returnilvirtualsystem.com/RVS-home-freeから)
■ファイル RVS_2010.exe(30,691,704バイト)
■対応OS Windows 7/Vista/XP/Server 2008/Server 2003(いずれも32ビット/64ビットに対応)
■価格 無料
■評価
(5段階)
★★★☆

 これまで安定して稼働していたWindowsシステムが,新しいソフトウエアをインストールしたことで不安定になったり,場合によっては起動できなくなるなどの深刻な事態に見舞われたことはないだろうか。また,Webサイトを閲覧している際に,ActiveXなど何らかのファイルをダウンロードを求められ,うっかり実行してしまってマルウエアの被害に遭ってしまうというトラブルを経験したユーザーもいるだろう。

 このようなトラブルに遭遇しないようにするには,レジストリのバックアップを採取し,セキュリティ・ソフトを最新の状態にしておくなどの事前の予防対策が大切だ。あるいは,Windowsのシステムで「システムの復元」を有効にしている場合には,復元ポイントを作成してからソフトウエアをインストールするなどの対応策も考えられる。だが,これらはいずれも事後の対策で,マルウエアの被害に遭ってしまってからでは効果が限られる。

セキュリティに問題がある操作は仮想環境で実行

 このようなトラブルや被害を避ける手段の1つとして,システムを仮想化するという方法がある。これは,コンピュータ内に仮想コンピュータ(仮想マシン)を作成し,その仮想コンピュータ上で未知のソフトウエアを評価したり,信頼できるかどうか不明なWebサイトにアクセスしたりするというものである。万が一,実行したソフトやWebサイトへのアクセスにより深刻なトラブルに見舞われても,影響を受けるのは仮想マシンだけに限られるので,対応は比較的容易だ。

 ただ,仮想マシンを作成するには少なからず手間がかかり,場合によってはOSを新たに導入するためのライセンスが必要になるなどのケースもあって,手軽に試してみるというわけにもいかない。こんなときに,システムを簡単に仮想化できるツールや手段があれば非常に便利だ。このための有効なツールの1つが,今回紹介する「Returnil Virtual System 2010」(以下「RVS 2010」と略記)である。

 RVS 2010はシステムを仮想化するソフトウエアの1つだが,ユニークなのはその方法である。システムに新たな仮想マシンを作らず,基本的にはシステムへの書き込みを仮想化するという方法を採用することで,システムの保護を図っているのである。