米Googleは2009年11月19日(米国時間),カリフォルニア州シリコン・バレーで特別なイベントを開催し,新たなパソコン用OS「Chrome OS」を正式に発表した(関連記事:Google Chrome OSが公開,OSSプロジェクト「Chromium OS」スタート)。同社が以前から表明している通りWebブラウザ「Chrome」ベースの機能を最小限に絞ったOSで,2010年後半にネットブック向けとしてリリースする予定だ。

Take1:Google,Chrome OSでWindowsの中枢を正面攻撃

 Chrome OSで最も注目されているのは,Windowsと直接競合するという点である。現在のパソコン市場で成長している分野はネットブックに限られており,米Microsoftはこの歴史的な景気低迷期に少しでも売り上げを伸ばそうとネットブック向けOS「Windows 7 Starter」の価格を上げた。ところがChrome OSは無料で入手できる。Chrome OSはWindowsの代わりに使われるようになり,併用されることはないだろう。Chrome OSは完全にクラウド・ベースのOSで,パソコンの電源投入後7秒以内に起動する。ユーザーのデータは暗号化して守る。

 筆者は,Chrome OSとWindowsの入れ替わった未来が訪れる可能性を予想している。そして,筆者はこの週末により詳しくChrome OSを取り上げる予定だが,Googleはこうした未来像からMicrosoftを排除しようとする姿勢を全く隠していないのだ。この点をしっかり覚えておこう。

 Googleが提供しているWebベースのアプリケーション/サービス,企業向け電子メール/PIM機能,スマートフォン用ソリューションを組み合わせてみると,Googleの設計図がはっきり浮かび上がる。Microsoftの座を奪うつもりなのだ。Googleはこの目標を達成するのに必要な賢い手段を持っている。

 永い眠りからMicrosoftを目覚めさせようとモーニング・コールが鳴りだした。Microsoftは対応を迫られている。

Take2:Microsoftなど,Chrome OSをこき下ろす

 Microsoftは表向きChrome OSをあざ笑うという予想通りの反応をしたが,社内の技術者たちは的確に応戦しようと躍起になっているはずだ。

 Microsoftの広報部門は以前よりもPRのプロらしく行動し,広報担当者が「入手した情報によると,(Chrome OSは)開発の初期段階にあるようだ。なお,当社の顧客はWebでもデスクトップでも,どのようなレベル/種類のパソコンでも『Windows 7』の機能に大変満足している」とのコメントを出した。

 よい対応だが,もっと優れたアイデアがある。ネットブック向けOSのWindows 7 Starterを無償化し,パソコン専用エディションにしてしまえばいいのだ。Windows 7 Starterから「Windows 7 Home Premium」へのアップグレード料金は80ドルで済む。ユーザーは払ってもよい金額だと考えるし,Microsoftも売り上げをそこそこ伸ばせる。つまり,ユーザーとMicrosoftの双方にメリットのある対策となる。さらにWindows 7 StarterならChrome OSをはるかにしのぐ機能を備えている。

 これでChrome OS問題は解決だ。Microsoftにこの対策を実行するだけの賢明さがあるだろうか。