Linuxカーネルの主要な開発者らが集まって議論を交わす「Kernel Summit」が2009年10月19日から20日にかけて,東京秋葉原で開催された。同Summitが日本で介されるのは今回が初となる。

 Kernel SummitはLinus Torvalds氏をはじめとした世界の主要なLinux開発者が集まり,現状の課題や今後の方向性について議論を交わす場である。毎年開催場所を移しながら開かれており,第9回の今年は,東京秋葉原で開催された。日本初上陸となる。

 出席者は招待者のみであり,全参加者を合わせて,90名程度に過ぎない。多くのカーネル開発者の中でも,特にコアな開発者が選ばれる。選考に際しては,Linuxカーネル開発への貢献度や,主要な議題に関連するトピックを持っているかどうかなどが考慮されるようだ。今回は開催地が日本だからだろうか,筆者を含めて日本からの参加者が例年よりも多かった。

 参加者は,個別の機能の話題からコミュニティの運営方法まで幅広い話題に関して,30分刻みという高密度のスケジュールで意見を交わす(写真1)。

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 カーネル開発者らは通常,メーリング・リストでパッチや新機能について議論するが,このように定期的に集まり,高密度なスケジュールで議論することも非常に重要である。というのも,関係者が問題点を共有していないとメールで深掘り議論はできないからだ。もちろん,Summitの場で結論がまとまらないことも多い。

 また,第6回から,カーネル開発者とは別に,ユーザーの話を聞く「ユーザー・スロット」という時間帯が設けられ,エンド・ユーザの声をカーネル開発者が聞く機会ともなっている。

 今回は,筆者が特に興味を持った3点について報告する。(1)IO controller (cgroups)の行方,(2)Googleによるユーザー・スロット,(2)perf/ftrace/timechart ――である。Summitではこれ以外のテーマについても議論されたが,残念ながら,すべてのセッションを報告するには紙面が足りない。