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グリーン・テクノロジー 最前線

ITpro

第1次産業の次世代のビジネスモデルを提示

グリーンITユーザーアワード「準グランプリ」講評

2009/11/20
高木 邦子=ITpro
写真●審査委員を務めた慶應義塾大学の伊香賀俊治氏
写真●審査委員を務めた慶應義塾大学の伊香賀俊治氏

 有限責任事業組合(LLP)のスペースフィッシュは,「ITpro EXPO 2009」のグリーンITユーザーアワードで準グランプリを獲得した。衛星の観測データを基に,カツオ,サンマなどの漁場を予測するシステム「トレダス」を開発し,漁業のリスクを減らすと同時にCO2排出量削減に貢献する取り組みが評価された。同アワード審査委員で,慶應義塾大学教授の伊香賀俊治氏は,準グランプリの受賞理由を審査の背景とともに語った。

 日本の漁業は非常に厳しい状況にある。漁業の就業者数はずっと右肩下がりで減り続けており,2008年には5年前に比べ7%少ない22万人まで減少した。最大の原因は,収入が安定せず,若年層が漁業者になりたがらないからだ。漁業による所得は,2007年の実績で,個人経営は294万円の黒字だが,会社経営は368万円の赤字。経営環境は極めて厳しい。また,漁業就業者数の高齢化も深刻で,60歳以上の割合は47%とほぼ半数を占める。さらに,2008年には原油高で燃料費が高騰し,多くの漁船が出漁できない事態に見舞われた。

 「漁業者は,航行距離を減らし,操業を効率化することが急務になっている。トレダスを使えば,漁場の探索時間を短縮できるため,時間と燃料コストを節約できる。同時に,燃料(重油)の消費を抑え,CO2排出量を削減できる」と,伊香賀教授はトレダスが業務効率の向上と環境負荷削減の両方に貢献していると評価する。

 今回のエントリー企業の中には,ITを活用して,第1次産業の業務合理化を支援する取り組みが2件あった。そのうちの1件がスペースフィッシュ,もう1件が朝日酒造とJA越後さんとう(共同実施)だ。

 「第1次産業の活性化に,ITをいかに活用するかは多くの研究機関が注目しているテーマだ。スペースフィッシュも,朝日酒造/JA越後さんとうも,最大の課題である労働集約的業務の合理化を,リモートセンシングの活用によって実現した。次世代の第1次産業のビジネスモデルを提示するものだ」と,伊香賀教授の評価は高い。

 2件ともいずれ劣らぬ優れた取り組みだが,スペースフィッシュは,今後多くの漁業者にトレダスのサービスが提供されることを期待しての「準グランプリ受賞」となった。一方,朝日酒造/JA越後さんとうは共同で「特別賞」を受賞した。

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