多くの外国人と付き合い、会議などで意見を交換してきた経験のある私が、彼らの能力に対して素直に「勝てないな」と感じることがあるのがプレゼンテーション能力です。

 彼らは、相手の役職や年齢、国籍などに関係なく、堂々とカッコよくプレゼンテーションを行います。それに反して日本人のプレゼンテーションはお世辞にも上手とは言えない人が多く、見ているこちらが恥ずかしくなるようなケースさえあります。

外国人が堂々とプレゼンできるのは、徹底した演技のため?

 例えば、外国人は舞台に上がって、片手をポケットに突っ込んで、身振り手振りを付けてアクティブにプレゼンテーションを行います。そんな彼らに、「なぜそんなに堂々とプレゼンできるの?」と聞いたことがあるのですが、彼は「徹底した演技だよ」と軽く答えました。

 要は、恥ずかしいとか、あがるとかいう前に演技を含めたプレゼンの準備をして会議に臨んでいるだけの話なのでしょうか?彼だけの意見では、すべての外国人の実態は分かりません。

 さて、そんな外国人には当然、非常にインパクトのあるプレゼンやネゴシエーションを行わなければならないのは言うまでもありません。ひな鳥の刷り込み現象を綺麗に解き放つためにはこれが非常に重要です。

外国人が使うグラフや表、チャートは、とても分かりやすい

 私はよく、外国人(特に欧米人)がプレゼンで使うグラフや表、チャートなどの分かりやすさに感心することがあります。もちろん、デザインや色もオシャレなのですが、とにかく分かりやすい視点で表現していることに感心します。

 これは経営に関しても同じなのですが、日本の経営者はとにかく財務諸表を重要視します。と申しますか、財務諸表以外に会社の実態がつぶさに理解できる、タイムリーな可視化の手法を知らないというのが正直なところではないでしょうか?

 ですから、何か問題が起こるといろいろな資料を部下に命じて作成させます。残念ながら財務諸表という極めて古い可視化ツールでは会社の状況は何一つ分からないと言っても過言ではないでしょう。従って、海外の一部の投資家からは「日本企業の財務諸表は信用できない」などというような誹謗(ひぼう)中傷を受ける羽目になってしまうのです。

 結局、ISO(国際標準化機構)やIFRS(国際財務報告基準)などというさまざまなグローバル・スタンダードを強要されます。そして、そのたびに少なからぬ投資を嫌々ながら実施することになるのです。