写真1●「ITpro EXPO 2009」の同社ブースでは,疑似的なデータセンターを再現した
写真1●「ITpro EXPO 2009」の同社ブースでは,疑似的なデータセンターを再現した
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●床下から冷気が吹き出すITpro EXPO 2009での展示。天井とラック端にはシールド(アイルキャップ)
写真2●床下から冷気が吹き出すITpro EXPO 2009での展示。天井とラック端にはシールド(アイルキャップ)
[画像のクリックで拡大表示]
図1●アイルキャッピングによる空気の流れ(NTTファシリティーズの発表資料より引用)
図1●アイルキャッピングによる空気の流れ(NTTファシリティーズの発表資料より引用)
[画像のクリックで拡大表示]

 「データセンターにおける空調機の消費電力を2割程度削減できると見ている」(日東工業IT開発部 IT機材開発グループの早川司郎課長)---エンタープライズ部門でAWARDを受賞した日東工業の「アイルキャッピング」は,データセンターやサーバールームの冷却効率を高めるファシリティ製品。ラック間の通路部分に天井や壁をしつらえ,空調からの冷気とIT機器からの暖気をそれぞれ封じ込めることで空調効率を高める。同社がNTTファシリティーズと共同開発した。

 サーバーの高集積化・高密度化によって,サーバールーム内では大量の熱が発生し,冷却に要する電力消費量が急速に増加している。機器の多くは,前面から冷気を吸い込み,背面から排気する。このため,吸気面であるラックの前面同士を向かい合わせに配置し,そこに冷気を供給する「コールドアイル」と,排気面であるラック背面同士を向かい合わせに配置した「ホットアイル」とを形成し,空調効率を高めるレイアウトが一般化してきた。日東工業の「アイルキャッピング」は,コールドアイルとホットアイルとをより完全な形で分離させるのに役立つ。

 「ITpro EXPO 2009」の同社の展示ブースでは,約4メートル四方のスペースに合計6本のラックを向かい合わせに配置して通路を形成し,疑似的なデータセンターを再現した(写真1,2)。通路の天井部分だけでなく,ラックとラックの間にも引き戸のようなシールドをかぶせ,通路となる空間を完全に覆ってしまう。シールドをかぶせることで,ラックの上部に溜まった暖かい空気が,床下から送り込んだ冷たい空気と混じり合うのを防ぐ(図1)。

 アイルキャッピングを使うことで,どれくらい冷却効率を高めることができるのか。同社では,2008年後半からNTTグループと共同で実証実験を行い,導入効果の検証を進めている。この結果,「空調機の消費電力の4割を占めるファンの稼働率を半減できると見ている。空調機全体としては2割程度の削減になる」と,同社の早川氏は説明する。自社で大規模なデータセンターを抱える金融会社や,データセンター事業者などから引き合いがきているという。価格は,ラック10台規模で約100万円。

アイルキャッピングはNTTファシリティーズの登録商標

■変更履歴
図1の説明が「NTTファイシリティーズの発表資料より引用」となっていましたが,正しくは「NTTファシリティーズの発表資料より引用」です。お詫びして訂正いたします。本文は修正済みです。 [2009/11/24 14:24]