米Microsoftのある社員の発言が発端となり,2009年11月第2週にブログ・コミュニティでちょっとした騒ぎが持ち上がった。この社員は最新版OS「Windows 7」の開発に携わっていないのだが,同OSは「Macintosh(Mac)のルック&フィール」に似せて設計したと述べたのだ。また,Microsoftが広告付き無料Officeのプリインストール版も計画しているという話もお伝えしよう。

Take1:Microsoft,Windows 7でMac OS Xからアイデアを拝借

 Windows 7がMacに似せたといううわさについて,Microsoftは会社として直ちにこれを否定した。問題の社員が「Windows 7の設計と完全に無関係」であるため,発言内容は「不正確で,情報不足からなされた」とした。その通りである。

 Microsoftにとって不幸なのは,Windows 7の開発に参加しなかった人でもWindows 7がMacから影響を受けたOSであると一目で分かることだ。最も目立つのは,Windows 7で一番人気の新型タスクバーだろう。これは,間違いなくMac OS Xに2001年より搭載されているドックから拝借したものだ。

 ただし,MicrosoftとAppleは以前から絶えずアイデアを盗み合ってきた(例えば,Mac OS Xは随分遅くなってから「Fast User Switching」(高速ユーザー切り替え)機能を搭載した)。だから,今回の件は全く目新しくないし,非難するならMicrosoftとAppleの両方を対象にしないとならない。

Take2:広告付き「Office Starter 2010」のベータ・テストを計画

 どうやらMicrosoftは,広告付きエディションである「Office Starter 2010」のベータ・テストを準備しているらしい。これは「Microsoft Works」の後継ソフトウエアとして新規購入パソコンに無料添付されるオフィス・アプリケーションであり,画面に広告が表示される(関連記事:「Microsoftが128ビット版Windowsを開発中」といううわさはデマ )。

 Office 2010 Starterのベータ版は,無料オンライン文書共有/コラボレーション・サービス「Office Live Workspace」のユーザー向けで,簡易版「Word 2010」と「Excel 2010」だけが含まれる。Microsoftの製品発表資料には「Office Starter 2010はOffice 2010の機能限定/広告付きエディションであり,新規購入パソコン専用となる。買ったばかりのパソコンですぐにOffice 2010の機能を使ってもらえる」とある。

 もちろんMicrosoftの真の狙いは,パソコンの新規購入ユーザーに機能が豊富なOffice 2010を買わせることと,提供をやめたMicrosoft Worksの悪評を払拭することだ。この目標はいずれもうまく達成されるだろう。