ここまでの道のりは必ずしも順風満帆だったわけではない。5年前に九州支社へ赴任したときのことだ。東京本社での実績を買われ、営業リーダーとして白鳥は顧客開拓に臨んだが、なかなか成約に結び付かなかった。商談中に手応えを感じても、結局は失注してしまっていた。
「なぜ獲得できないのか」。一つの商談が終わると、自分自身の行動を振り返った。顧客への電話応対や面談時の対応、話し方のほか、電子メールの内容など細かい部分を再確認していった。
この結果、「東京で使っていた提案資料やセールストークに頼って、顧客の信頼を得るための工夫が十分ではなかった」との考えに至った。システムの運用を本当に安心して任せられる会社かどうか、提案資料の内容だけで顧客は判断しなかったのである。「当社の企業姿勢は、提案資料だけでは伝わらない。顧客に信頼してもらえる存在になるためには、営業担当者が日々の行動で示す必要がある」と、白鳥は悟った。
その後の白鳥は、顧客から問い合わせがあるたびに、すぐに対応するようにした。技術的な部分について顧客が納得していないと感じたら、自社の運用担当者を同行させて再訪問し、疑問の解消に務めた。「富士通FIPでは社員が一丸になって顧客のシステムを守る」という企業姿勢を、自らの行動で積極的に示すようにしたのである。すると次第に受注が増え、その後は30社以上の新規顧客から受注できたという。
「売ろうとする態度が少しでも透けて見えると、顧客の信頼を得ることができない。今でも自分自身の行動を振り返り、次の商談に生かすようにしている」と白鳥は話す。
富士通エフ・アイ・ピー
第一アウトソーシング営業部 担当課長