「オンラインのデスクトップ仮想化でできることのほとんどはCitrix XenDesktop 4に結実した」(シトリックス・システムズ・ジャパン マーケティング本部 リードプログラムマーケティングマネージャー 北瀬公彦氏)---Citrix XenDesktop 4は,シトリックス・システムズ・ジャパンが2009年10月26日に発表したデスクトップ仮想化製品の新版だ。
XenDesktop 4は,アプリケーション仮想化製品であるCitrix XenAppの全機能を統合した製品である。合計6種類の仮想デスクトップ方式を,目的に合わせて使い分けることができる。
またFlashのパフォーマンス改善や,WebカメラをはじめとするUSBデバイスへの対応強化など「ユーザー・エクスペリエンスの向上も大きなテーマ」(北瀬氏)として開発されている。
アプリ仮想化,仮想マシン,ブレード・サーバーを使い分ける
XenDesktop 4が備える仮想デスクトップ方式は以下の6種類。シトリックスではFlexCastと呼ぶ。
・標準化されたデスクトップ環境をサーバーで実行し,クライアントに画面を転送する「Hosted Shared Desktops」
・ユーザーそれぞれのデスクトップ環境をサーバーで実行し,クライアントに画面を転送する「Virtual Apps to Installed Desktops」
・サーバー上で仮想マシンを実行し,クライアントに画面を転送する「Hosted VM-based VDI Desktops」
・ブレード・サーバー上で実行し,クライアントに画面を転送する「Hosted Blade PC Desktops」
・デスクトップ環境のファイルを配信し,クライアントで実行する「Local Streams Desktops」
・仮想マシン・イメージを配信し,クライアントで実行する「Local VM-based Desktops」
ユーザーがそれぞれ独自の環境を必要とするのか,それとも定型業務のため標準化されたデスクトップ環境が適しているのか,サーバー1台あたり何台のクライアントをホストするのか,どのようなアプリケーションを利用するのか,などによって各方式の使い分けができるようになっている。
Flash高速化やUSBサポート強化
XenDesktop 4には「ユーザー・エクスペリエンスを向上させるためのさまざまな技術が盛り込まれている」(北瀬氏)。シトリックスではHDXと総称している。
HDX MediaStreamは,動画データを圧縮して送信し,クライアント側で再生する技術。HDX RealTimeはテレビ会議など双方向のストリーミングを最適化する仕組み。HDX 3Dは,データセンターやクライアントの状況に応じてソフトウエア・レンダリング,ハードウエア・レンダリングのどちらを使用すべきか判断し描画を行う技術である。
USBやマルチモニター,プリンタなどクライアントや周辺機器をサポートする機能はHDX Plug-n-Playと呼ぶ。HDX IntelliCacheは,データや画像をキャッシュし,最も適切な場所から配信することで複数ユーザーが利用する際のパフォーマンスを最適化するという。HDX Broadcastは,一斉配信を最適化する仕組み。HDX Adaptive Orchestrationは,データセンター,ネットワーク,端末の性能を検査し,全体として最適化を行うという。
「デスクトップ仮想化は,社内でスピーチを配信するなど,画像配信が必要な場所でも使われている。XenDesktopのHDXは,こういった場面でのユーザー体験を向上させる」(北瀬氏)。
価格体系も変更
XenAppを統合したことで「価格体系も大きく変わった」(北瀬氏)。従来の同時接続数に基づいた価格体系から,ユーザー数もしくはデバイス数に基づいた価格体系となった。ユーザーライセンス・モデルは,ユーザーがデバイスを何台でも使用することができる。デバイスライセンス・モデルは,1ライセンスを持つデバイスをユーザーが何人でも使用することができる。
価格は,仮想マシンおよびブレード・サーバーによる画面転送型を利用できる「VDI Edition」が1ユーザーまたは1デバイスあたり1万3700円,VDI Editionに仮想マシンの配信などを追加した「Enterprise Edition」が1ユーザーまたは1デバイスあたり3万2200円,HDX IntelliCacheやSLA監視機能などを備えた最上位版の「Platinum Edition」が1ユーザーまたは1デバイスあたり5万100円。「VDI Edition」では2009年12月から同時接続数ライセンスも提供する。