写真1●盛況だった企業向けクラウドのパネル討論会

 10月末に東京ビッグサイトで開催されたITpro EXPO展示会。3日間の展示会の最後を締めくくるセッションとして「現実解としてのエンタープライズ・クラウド~広がるアプリと開発基盤の選択肢~」と題したパネル討論会が開催された(写真1)。このパネル討論会には,マイクロソフト 執行役 デベロッパー&プラットフォーム統括本部長大場章弘氏,セールスフォース・ドットコム 常務執行役員 SE&サービス統括本部長の保科実氏,グーグル エンタープライズ プロダクト マーケティング マネージャーの藤井彰人氏という企業向けクラウドの鍵を握るの3社が登壇。現状認識,ユーザー企業における取り組みの実体,ソリューション,利用拡大に向けた課題--の4つのポイントについて議論を交わした。

企業向けソリューションの一つとして確立されたクラウド

写真2●モデレータを務めたITproの吉田琢也編集長

 まず,モデレータを務めたITpro編集長の吉田琢也(写真2)が,ITproでも1年前に「SaaS」というテーマサイトを「クラウド」に切り替えるかで議論したエピソードを紹介。「当時はクラウドという言葉がバズワードで終わるのではないかという議論があったが,最終的にはエンタープライズ・クラウドに切り替えてよかったと改めて思っている」と語り,企業システムを構築していく上でクラウドはすでに現実的な選択肢になっているという認識を披露した。

 こうした認識に関しては,パネル討論会に参加した3社はいずれも賛同。マイクロソフトの大場氏は「ここ1~2年で急速にクラウドに力を入れ始めたマイクロソフトがその変化を一番大きく感じている」と語ると,セールスフォースの保科氏も「この3~4年で急速に伸びている。昨年はまだクラウドの啓蒙を進める状態だったが,今年になってからはクラウドを考えていないユーザーがいないぐらいになってきている」と,日本で2200社/67万ユーザーがすでにセールスフォースのサービスを使っているという具体的な数字を挙げながら語った。グーグルの藤井氏も「次世代の技術として検討するよりも,どこにどう使ったら一番効果的かという議論になってきている」とする。