今回は各資格の営業効果ランキングを見ていく。30ある公的/非ベンダー系資格のうち、営業効果の高かった上位20資格を表1に示した。

表1●営業効果の高い上位20資格(公的/非ベンダー系)
営業効果は「効果あり」の回答比率から「効果なし」の比率を引いて算出した
表1●営業効果の高い上位20資格(公的/非ベンダー系)

 調査では各資格について、「営業効果あり」の回答比率から「営業効果なし」の回答比率を差し引くことで営業効果を定量化している。

 最も営業効果が高かった資格は、前回に続いて情報処理技術者試験 プロジェクトマネージャである。「プロジェクトマネジメント(PM)関連資格を持つ社員が商談に参加していれば、プロジェクトの遂行能力を顧客にアピールしやすく、案件の成約率も向上する」と、評価するリューションプロバイダの営業担当者は多い。

 不採算案件のリスク抑制という効果もある。案件自体の数が減った現在、多少は無理してでも受注せざるを得ない案件が増えた。これに伴い、仕様変更による納期遅れやコスト増、稼働後の障害発生といったリスクも高まっている。資格取得を通じてPMのスキルが高い人材を増やし、営業活動の段階から対応できればリスクを減らせるはずだ。

 2位は情報処理技術者試験 情報セキュリティスペシャリストである。3位には情報処理技術者試験 ITストラテジストが入った。これら三つの資格は、前回に引き続き1~3位を守っているが、営業効果の数値自体は低下傾向にある。

 営業効果が前回より高まった点で目を引くのは「情報処理技術者試験 システムアーキテクト」(旧制度のアプリケーションエンジニア試験)、情報処理技術者試験 応用情報技術者、情報処理技術者試験 基本情報技術者、「LPIC」の4資格である。いずれも営業効果を前回より3~6ポイント高めた。

 情報処理技術者試験 システムアーキテクトは、システム要件定義や設計などに関するスキルを問う資格だ。10月に実施された2009年度秋期試験が最初の試験である。この資格の営業効果の高さは、旧制度の「情報処理技術者試験 アプリケーションエンジニア」に対する評価を反映したものだろう。

 LPICはLinux技術者を認定する資格だ。前回調査で躍進して20位圏内に入り、今回も着実に順位を上げた。同資格の日本での受験者数は12万人を突破している。国内人気の高さがアンケート結果にも表れた格好だ。

 前回調査からの注目資格としては、前回調査で8位に食い込んだITIL(ITインフラストラクチャ・ライブラリ)資格もある。今回はやや順位を落とし11位だったものの、営業効果ランキングの上位資格として評価が定まってきたようだ。

 上位グループに入っているものの前回よりも順位を下げた資格のなかでは、PMPの失速が目立つ。

 PMPは2006年にはトップ3の一角を占めていたが、2007年の調査では4位になり、2008年は5位だった。さらに今回は9位まで順位を落とした。同資格は、技術職に取らせたい資格でも評価を下げている。資格取得の費用対効果を見極めようという機運の高まりが理由として考えられる。

 PMPは数十万円の取得費用に加え、年間6万円前後の維持費用もかかる。5100円の受験料だけで済む情報処理技術者試験よりも負担が大きいこともあって、積極的に取得に動く企業とそうでない企業の二極化が進んだものとみられる。