米Microsoftが発したメッセージは,正確さに欠けていた。同社は2009年11月第1週,「盛んに宣伝されているクラウド・コンピューティング・ソリューションへ移行する場合,機密漏えいの問題を真剣に考慮すべき」と警告する顧客向けホワイト・ペーパーを出したのだ。

Take1:オンプレミス・ソリューションのアピールが不足

 そのホワイト・ペーパーには,「クラウド・コンピューティング環境では,ユーザーや企業,政府組織の情報処理方法およびコミュニケーション手段について,重大な運用ポリシー上の問題が大量に発生する。クラウド・コンピューティングとインターネットを最大限活用する際に必要となる顧客の信頼獲得には,プライバシ保護が絶対条件」とある。

 この警告が恐ろしくても,怖がる必要はない。Microsoftは米Googleなどと違って,クラウド・コンピューティングだけでなくオンプレミス・ソリューションも用意しているのだ。Microsoftのメッセージには,この情報が欠けていた。

Take2:Microsoftの競合メーカー,Webブラウザ問題で追加要求

 間もなく結末を迎える現実世界のドラマ---米Microsoftと欧州連合(EU)のあいだで争われている競争法違反問題---が2009年11月第1週,残念なことに無駄な回り道を始めてしまった。Webブラウザ市場でMicrosoftとライバル関係にある米Googleと米Mozilla,ノルウェーOpera Softwareの3社が,欧州向けWindowsに搭載される「ブラウザ選択画面」の「投票スクリーン」でさらなる譲歩を求めてきたのだ(関連記事:Windowsのブラウザ搭載に関するMicrosoftの改善案,欧州委が意見公募へWindows 7の「ブラウザ選択画面」を反Microsoft団体が批判)。

 3社は,Microsoftに対する監視回数を増やすという割と納得できる要望を出したほか,競合Webブラウザのインストールに関する警告を減らすよう注文を付けた。例えばOperaは,1回クリックするだけで警告なく同社製Webブラウザをインストールできるようにしろと迫っている。Mozillaは,Webブラウザの一覧を投票スクリーンに表示する際,アルファベット順以外の方法で並べるよう要求した。アルファベット順だと同社のWebブラウザが最後に表示されるからだ。

 幸いなことに,今回ばかりはEUの競争法担当委員らも小競り合いを止めさせようとしているらしい。EUで委員を務めるNeelie Kroes氏は「100%満足できない人はたくさん出てくる。小さな問題はいくつかあるものの,どれも簡単に解決できるだろう」と述べた。