公共分野の評価が高い富士通とNEC

 今回の顧客満足度調査では,上場企業と売上高200億円以上の非上場企業,および官公庁・自治体(以下,公共団体)を調査対象にした。前回調査では,非上場企業は,売上高100億円以上(流通業は同200億円以上)までを対象にしている。

 その結果,全回答に占める公共団体からの回答比率が21%から27%へと上昇した。公共団体からの回答が満足度に与える影響力が強くなった。公共団体を主要顧客に持つIT企業は,これが吉と出るか凶と出るかが気になるところだろう。

 ここでは,公共団体の評価尺度などをみるために,ITコンサルティング/上流設計関連サービス分野における調査結果を掘り下げる。

 まず注目したいのが重視ポイントだ。公共団体は「知識・ノウハウの豊富さ」「サービスの利用料金」「成果物の品質」の3項目を一般企業よりも重視する傾向が見られる。反対に,一般企業における重視度が高い「提案力」と「業務分析力」の2項目については,重視度が低いという特徴がある(図1)。

図1●ITコンサルティング/上流設計関連サービスにおける,公共団体と一般企業の重視点の差
図1●ITコンサルティング/上流設計関連サービスにおける,公共団体と一般企業の重視点の差
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 そうしたなか,総合満足度ランキングが前回の4位から2位に浮上したのが富士通。同社に対する回答のうち4分の1以上を公共団体からの票が占めている。図2に示すように,富士通に対する公共団体からの評価は全体的に高い。特に,重視度が高い「知識・ノウハウの豊富さ」に対する満足度は一般企業のそれを5ポイント以上,上回る。

図2●ITコンサルティング/上流設計関連サービス分野における公共団体と一般企業の富士通に対する顧客満足度
図2●ITコンサルティング/上流設計関連サービス分野における公共団体と一般企業の富士通に対する顧客満足度
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 こうした傾向は,前回(2008年調査)から総合満足度を5位から4位に上げたNECにも共通している。同社も,全回答数のうち公共団体の回答比率が3分の1以上を占める。公共団体からの評価が全体総合満足度を引き上げた。公共団体だけによる総合満足度は,前回より7.7ポイント高い60.0点に達している。

 富士通,NECの両社ともに,公共団体からの高い評価が総合満足度アップの一因になっているようだ。