IT企業に求めるだけでなく,自らも考える─。情報システムに対する満足度を高めるために,利用企業の取り組み姿勢も変わってきた。

 利用企業に対し,満足度を高めるための取り組みをしているかどうかを聞いたところ,回答企業の85%以上が,何らかの活動に取り組んでいることが明らかになった(図1)。

図1●満足度を高めるための取り組み
図1●満足度を高めるための取り組み
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 中でも最も多い取り組み策が,「発注先に伝える要求の精度を高めている」こと。回答件数は,半数を超える896件である。要求をしっかりと固めて発注することが,情報システムや,それを構築したIT企業に対する満足度を高めるというわけだ。

 要求精度を高めるといっても,その具体的な取り組み策は様々だ(図2)。以下では,代表的な取り組み策を紹介する。

図2●利用企業がIT企業とパートナー関係を構築するための取り組み
図2●利用企業がIT企業とパートナー関係を構築するための取り組み
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要求定義は利用者の義務---JTB

 「IT企業に“ITのプロ”としての義務を果たしてもらうためには,我々利用者にもやるべきことがある」──。JTBの野々垣典男IT企画部長は,利用企業が果たすべき役割の存在を,こう強調する。

 野々垣部長が指摘する利用者の義務とは,「要求定義」である。情報システムに求めることを明確にしたうえで,IT企業に提示する。そこでは,あいまいさをなくし,IT企業に伝えた要求がぶれないようにする。

 利用者からの要求が変わらなければ,開発途中での仕様変更は起こりにくい。開発費の追加やスケジュールの遅延といった事態が防げる。野々垣部長は,「システム要件定義はIT企業に委ねるにしても,要求は利用者が責任を持って定義しなければならない」と,気を引き締める。

 JTBでは現在,IT企業と協議しながら,要求や要件の定義を承認するためのルール作りを急いでいる。過去に経験した開発プロジェクトを振り返り,明確なルールが必要だと判断した。2009年秋には,確定したい考えだ。