地域WiMAX推進協議会と電波産業会は2009年10月27日,第3回となる「地域WiMAX推進協議会シンポジウム」を開催した。今回は地域WiMAXのビジネス・モデルをテーマとしており,講演や事業者による事例が発表された。会場はケーブルテレビ事業者や通信関連のベンダーでほぼ満席であり,関心の高さがうかがえた。

無線LANに活路

 愛媛県松山市のケーブルテレビ事業者である愛媛CATV 常務取締役の白石成人氏は,2009年12月の開始を予定している個人向けの地域WiMAXを用いた無線通信サービスの内容や,先行して提供していた法人向けサービスの取り組みを報告した。

 法人向けのサービスでは,地域の公共インフラになることを意識しているという。ただしケーブルテレビ事業者だけではキラー・サービスを作り出せるかは未知数である。そこで2009年2月に地域WiMAXの利用方法を話し合う「オープンWiMAX研究会」を発足した。研究会には松山大学や放送局,交通機関,広告会社などが参加している。白石氏は,「自分たちが利益を得る仕組みを作るのではなく,様々な事業者がビジネスに参画できる仕組みを作ろうと発想を転換した。多くの事業者がこのビジネスに参画し,利益を上げるようになれば,地域WiMAXは消滅しないという考えだ」と説明する。

 その例として,地域WiMAXを使った監視カメラ・サービスを手がける企業のアイデアや,大学の講義を地域WiMAXを使って遠隔地の高校で見せる実験,電車内にエリア限定ワンセグ用の送信機を取り付け,地域WiMAXの回線を使ってコンテンツを配信する取り組みを紹介した。

 個人向けサービスでは,地域WiMAXだけの形態にはこだわっておらず,無線LANを組み合わせることに取り組んでいくという。地域WiMAXの電波を無線LANの電波に変換する,またはケーブルテレビ事業者のインフラを利用して直接無線LANのアクセス・ポイントを設置する予定である。サービス名称は「愛媛CATVワイヤレスネット」とした。「利用者に何ができるのかを分かりやすくするために,サービス名から地域WiMAXという文言を外した」と白石氏は語る。