大手コンピュータ・メーカーも独自手法を取り入れながら、超上流工程の強化を急いでいる。顧客の潜在的な課題を引き出して解決策の提案につなげるスペシャリストを育成して投入。開発の手戻りによるトラブル解消を狙う。

 日立製作所は、BAの実践を目的とした新手法「Experience Oriented Approach(Exアプローチ)」を、今年8月から社内に導入した。家電などのデザインを手掛けるデザイン本部が持つノウハウを基に、顧客との合意形成に必要なプロセスとスキルを集約した。2010年度末までに、Exアプローチを習得した20人の専任担当者と120人のプロジェクトマネジャーを育成する。3万人いる SEにも、Exアプローチの導入研修を実施していく計画だ。

 NECは超上流工程でのBAの役割を、「ビジネスモデルコンサルタント」と呼ぶ新たな職種に担わせている。主に営業部門から選抜し、経営層や利用部門の視点で課題を把握するための実践的な育成プログラムを実施。昨年10月から活動を開始した。

 NECは現在、ビジネスモデルコンサルタントを開発部門でも養成している。2012年までに、全体で200人体制を実現する方針。NECのクラウドコンピューティング事業推進の中核人材と位置付ける。今年7月に開始した「クラウド指向サービスプラットフォームソリューション」では、クラウドの導入効果を高めるため、ビジネスモデルコンサルタントが業務改革プランの立案を支援する。

 超上流工程のサービス化を、日本IBMも進めている。顧客データや会計情報などを分析し、ユーザーの意思決定を支援する新サービス「Business Analytics and Optimization(BAO)」を、今年7月に開始したところだ。

 新サービスの提供開始に際して、同社はユーザーの意思決定の支援を専門に手掛ける新組織を設けた。250人以上の専任コンサルタントが所属し、顧客によるBAO導入を支援している。