10月の中旬から下旬にかけて主要企業の業績報告が相次いだ。米Microsoft,米Intel,米Googleといった大手の2009年7~9月期決算が出そろった。なかでも驚きの好業績を報告したのは米Amazon.com。同社の売上高は前年同期比28%増の54億5000万ドルとアナリスト予想を約4億ドル上回った。最終利益は同68%増の1億9900万ドル。世界100カ国以上に向けて販売開始した電子書籍リーダー「Kindle」が好調で,今やAmazon.comの取扱商品の全カテゴリーで最も売れる商品になっている。
Amazonの株価急騰,バブル期の最高値を超える
これを受けて株式市場は大きく反応した。Amazon.comの株価は決算発表の22日,時間外取引で急騰,一時107.70ドルを付けた。株価はその後も上昇しており,10月30日の終値は118.81ドルとなっている(図1)。これまでのAmazon株終値の最高値は1999年12月の106.69ドル。ほぼ1年前の2008年11月には,サブプライムローン問題に端を発した景気低迷の影響で37.87ドルまで落ち込んでいたが,今やドットコム・バブル期の水準を超えて推移している(図2)。
米メディアの記事を見ているとアナリストらは同社にはまだ成長の余地があると考えているようだ。米国ではこれから,1年で最も消費が伸びるといわれるホリデー・シーズンが控えている。同社への期待はまだまだ高まりそうだ。
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iPhoneが過去最高の740万台に
Appleの業績も好調だった。最終利益は47%増で,iPhoneの販売台数は前期から41%増えて過去最高の736万7000台を記録した(図3)。またノートパソコンも前年同期比27%増,前期比30%増と大きく伸びた。
Apple製品の売上比率が前四半期とほぼ同じ状態を保っているのが興味深い。同社の4~6月期の売り上げは,パソコン関連が半分,iPhoneやiPodなどのガジェット(非パソコン)関連が半分という構成だったが7~9月期も同じだった。ただしその内訳は若干変化した。iPhoneの比率が増え,その分iPodの比率が減ったのだ。またデスクトップ/サーバーの売り上げが減少し,ノートパソコンが伸びた。その結果として売上高は前年同期比25%の増収となった。
パソコン50%,ガジェット50%という売上構成はリスク分散という観点からも理想的と考えられるが,Appleではそれが定着してきたようだ。そして両分野をけん引しているのがMacBookとiPhoneということが浮き彫りになった決算となった。この2製品はリスク分散というよりは,むしろ相乗効果を生み出していると言ってよいのかもしれない。
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