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萩本・匠スタイル研究所

第11回 論理的美の虚像(経営者はビジネスの常識を疑い、それを乗り越えよ!)

萩本 順三=匠Lab代表取締役、匠BusinessPlace代表取締役 2009/10/28 日経コンピュータ

 ビジネスとITの摩訶不思議な世界を“創発号”に乗って旅する匠Style研究所。第9回から、価値の正体を追い求める旅を始めています。前回は、企業においてビジョンを描くことの大切さ、またその方法について旅しました。今回は、IT企業の価値について考えてみることにしましょう。

 それでは今回も、いつものようにITビジネスとしての常識を超えた楽しい旅に出発します。しかし、今回の旅は、ユーザー企業およびIT企業の経営に携わる方々にとっては、少々辛いものになるかもしれません。でも、勇気を出せば、辛い旅も面白い冒険につながります。思い切って、自由な創発の旅に飛び出してみましょう。

IT企業の価値が低下している

 IT企業、特にシステムインテグレータ(SIer)と呼ばれる企業にとって、ビジネスの状況が非常に苦しくなっています。ビジネスの根幹となっているシステム開発において、次のような問題が多発しているからです。

・システム開発が巨大化し、システム開発プロジェクトが失敗に終わる
・うまく開発できたとしても、契約していた開発費を大幅に超える開発コストがかかる
・開発したシステムに対するユーザー企業からの評価が低い

 これらの問題を抱えることで、ユーザー企業からはIT企業全般への不信感がもたらされています。結果、IT投資意欲が下がり、新規開発に対する投資額が低迷しています。そこに、経済不況が追い打ちをかけているのです。結果、ビジネス改革に基づく、本来なすべきIT投資さえも落ち込んでしまっています。このままでは、日本企業全体の競争力がどんどん低下していくことになりそうです。

問題の本質は日本におけるITビジネスの根幹にある

 これらの問題の本質はどこにあるのでしょうか。これは、日本独特のSIビジネスとして慣習化されてきた“常識”に問題があるのです。具体的には、ユーザー企業とSI企業の間で取り交わされているシステム開発における契約の結び方です。この問題をシンプルに示したのが図1です。

図1●現状システム開発の根本問題
[画像のクリックで拡大表示]

 問題の背景には、ユーザー企業とSI企業双方の経営上の問題があります。

●ユーザー企業としての問題
(1)ビジネスの要求に基づくシステム要求を導き出すことを怠っている
(2.)ビジネス要求およびシステム要求の価値を検証できないまま、SI企業に放りなげ、システム開発会社にその一切の落とし前をつけさせる

●SI企業としての問題
(1)ユーザー企業からのシステム要求を、口を開けて待っている
(2)ビジネスとしての価値の向上に貢献するというより、やるべきことを契約として決め、それを遂行することに終始する
3)業務の仕様を決める(できる)のはユーザーだと信じ込んでいる

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