飲酒運転による事故の発生件数は年間6000件。減少傾向にあるものの、交通事故全体の約1割を占めており、さらなる防止策が求められている。一つの策として、アルコール測定器を組み込んだ自動車を携帯電話ネットワークにつなぎ、運転手が飲酒運転していないことを遠隔で監視できるシステムの開発が進んでいる。

写真1●自動車を運転する前に、飲酒していないかチェックする
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写真2●運転者の息にアルコールが含まれているか調べ、メールを自動送信する
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 運転手の飲酒運転を遠隔地から防止するのは、東海電子が開発中の「ALC-PRO Plus」。自動車に組み込んだアルコール測定器によって、運転手の息からアルコールが検出された場合はエンジンがかからないよう制御するほか、エンジン始動時および始動後に運転手を撮影することで、“身代わり運転”を防止する。

 具体的な流れはこうだ。まず運転手は、車に設置された測定器に付属する専用のマウスピースに息を吹き込む(写真1)。測定器はアルコールがどの程度混入しているかを算出し、基準値を下回った場合だけ、エンジンを始動できるようロックを解除する。

 運転手が息を吹き込んだ際には、測定器全面に組み込まれたデジタルカメラが運転手の顔写真を撮影する(写真2)。誰が測定したかを記録するためだ。これで運転手とは別人が息を吹き込み、ロックを解除することを防止する。