シックスシグマではプロジェクトのリーダーはブラックベルト(BB)だが、最終責任はチャンピオンにある。責任を現場に転嫁せず、チーム要員の誰もが責任を果たせるよう、節目節目にプロジェクトレビューを開く。意思決定をよりスムーズにするためにはプレゼンテーションにも工夫が必要だ。
大手総合電機メーカーのFN社は、今年度から全社でシックスシグマに取り組み、プロジェクト推進部門「シックスシグマ革新部」を設置。情報化推進部から部門リーダーのブラックベルト(BB)に指名された小谷さんは、最初のプロジェクト課題に取り組みながら、積極的に部内への活動展開を進めている。
情報化推進部:村上部長(チャンピオン)、小谷サブマネジャー(ブラックベルト)、門馬部員
シックスシグマ革新部:浅田トレーナー(マスターブラックベルト)
太田副社長
小谷さんがブラックベルト(BB)として率いる「社員満足度向上:社員用PC入手待ち時間の短縮」プロジェクトは、原因分析を行う『A(分析)フェーズ』の終了段階に差しかかった。明日のプロジェクトレビューで、プロジェクトを継続するかどうかが決まる。小谷さんは、チームメンバーの門馬さんを聴衆に見立て、プレゼンテーションをリハーサルすることにした。
小谷 それじゃ、もう一度だけ通しで発表するから時間を計っていてね
門馬 了解。でもこれで3回目ですよ。どうしてそんなに慎重なんですか?
小谷 私、どうもプレゼンって苦手で。本番で上がってしまうタイプなのよ
門馬 へえー、小谷さんにも意外な面があったんですねえ
小谷 いいから、始めるわよ
シックスシグマにおけるプロジェクト活動の結果責任は、課題解決を委託したチャンピオンが負う。レビューは、プロジェクトの進捗状況を確認し適切な意思決定を下すための場だ(図1)。通常は、BBの発表スキル向上や活動情報共有の意味もあり、シックスシグマ関係者が一堂に会して開催する。
プロジェクト活動は、BBがトレーニングを受けることを節目として始まるだけに、複数プロジェクトが同時進行することが多い。そうした組織では、レビューを毎月、定期的に開催しているところもある。
一般に各プロジェクトに対するレビューは、開始直後のキックオフ時、中間報告に当たるAフェーズ、最終報告に当たる『C(定着)フェーズ』の3回開く。新米BBが手掛けるファーストプロジェクトに対するレビューは、重要なマネジメント経験の場として特にしっかりと実施する必要がある。レビューするチャンピオンにとっても、日常業務とは異なる判断を求められるケースがあるため、図1のようなガイドラインが与えられることが多い。