野坂淳専務取締役
野坂淳専務取締役
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 衣料品や生活雑貨、家電などを扱う総合リサイクルショップのトレジャー・ファクトリーの2009年度上期(3~8月)の業績は、既存店売上高が前年同期比で1.7%増と堅調だった。1995年の創業以来、同社は中古品の買い取り査定業務の効率化や情報化に知恵を絞ってきた。

 同社の成長には自前システムの開発が不可欠だった。独自開発のPOS(販売時点情報管理)システムを活用している。このシステムによって、買い取り査定の目利き人材育成という課題を乗り越え、40店まで店舗網を拡大できた。

 独自のPOSシステム開発を指揮してきた野坂淳専務取締役は「中古品ビジネスには、店がいくらで仕入れ、いくらの売価を付けて店頭に並べ、何日後に売れたのかという情報が、翌日以降の買い取り査定に欠かせない。当社はそうした情報を自前のPOSシステムで全店から吸い上げている」と話す。

 とはいえ、本部が店にPOSシステムを通じて提示する買い取り価格にはあえて幅を持たせている。買い取り査定業務をすべて自動化してしまうと、店では全く人材が育たなくなってしまうからだ。各店の査定担当者に最終的な買い取りのワンプライスを決定するように指示している。

 「すべて本部で決めてしまうのではなく、買い取り価格にある程度の自由度を持たせることで店でも目利きの力を高めてもらい、商売人のセンスを磨いてもらう」。野坂専務の頭には常に、人とシステムの融合というテーマがある。

Profile of CIO

◆経営トップとのコミュニケーションで大事にしていること
・経営トップとの普段の何気ない会話から、潜在的なIT(情報技術)への要望や発想のヒントをたくさんいただけています。どのような場面でも、トップが目指す方向性や日々変わる要望の微修正を正確に感じとるように意識しています。その際には何が求められているのか、本質を外さないことを常に心がけています
・創業から時を共にしているからこそ通じる「つうかあ」によってスピードを追求できる部分と、改めて言語化して確認、共有すべき部分とのバランスを特に大事にしています

◆普段読んでいる新聞・雑誌
・日本経済新聞
・日経流通新聞
・リサイクル通信
・日経ビジネス
・企業家倶楽部
そのほか、当社が展開する事業領域の関係上、ファッション誌やモノ情報誌などの雑誌を複数定期購読し、世の中のトレンドを意識しています

◆最近読んだお薦めの本
・『影響力の武器 実践編』(N.J.ゴールドスタイン、S.J.マーティン、R.B.チャルディーニ 共著、誠信書房)
・『人間力の科学』(小阪 裕司 著、PHP研究所)

◆よく見るインターネットサイト
・若手経営者のブログをよくチェックします。日々発信される生きた情報を、自社を取り巻く環境がどのように変わっていくのかを考えるヒントにしています

◆情報収集のために参加している勉強会やセミナー、学会など
・特定のジャンルに偏らないように意識しながら、興味を持ったテーマがあるときには参加しています

◆ストレス解消法
・特にありません。ありがたいことに、ストレスがたまることがあまり無いからです。あえて挙げるなら、2人の息子と過ごすことで、たくさんの元気をもらっています