解決すべき4つの課題米国スマートグリッドの裏事情 その3スマートメーターが、米国の電力網強化に重要な役目を果たすのは間違いない。 米国の送電網は複雑で、停電が起きた場合にその影響範囲を把握することさえ難しい。しかしスマートメーターによって、住宅と電力会社が直接つながるようになれば、少なくともどの顧客が停電に見舞われているかはわかる。顧客に消費電力を明示することは、電気利用抑制につながるだろう。 解決すべき課題は山積ただメーターだけでは、停電の解消や送電量増加への対応は難しい。問題が山積していることには変わりないのである。少なくとも、次の四つの課題を解消する必要がある。
(1)コスト負担の明確化 このコストを誰が補うのかが議論を呼ぶところだ。電気・ガス料金の値上げによって消費者に負担させるのか、それとも政府が追加予算をつけるのか。スマートグリッド構築に米国内の関係団体が本格的に動き出した場合のビジネスモデルを検討しておく必要がある。
(2)関連技術の標準化
(3)再生可能エネルギー技術開発
写真2●米国の送電塔は無防備だ
太陽光や風力による発電システムは都市部から離れた場所にあることが多い。大容量の送電が不可能な場合や、都市部で必要としない時間帯に発電した場合は、蓄電技術が必要になる。発電した電力を効率よく使うためだ。
(4)セキュリティ対策 希望は失望に変わりかねないこれらの問題を抱えているにもかかわらず、産業界やエネルギー業界、はてはマスコミまでスマートグリッドを大きく取り上げ、期待を寄せる。あたかも、1年後、2年後にはすばらしい電力インフラが完成するかのような風潮さえある。 しかしスマートグリッドのような社会基盤は、20年、いや30年かけて完成させていくものであるはずだ。過剰な期待はすぐに失望に変わる。冷静さを取り戻すべき時期に来ている。
岸本 善一(きしもと ぜんいち)
米アイピー・デバイセズ代表 京都大学電気工学科を卒業後、米国でコンピュータ・サイエンスの博士号を取得。GTE研究所、米ヒューレット・パッカード、米NECを経て1998年にアイピー・デバイセズを設立。先端技術をビジネス展開に結びつけるコンサルティング業務を提供する一方で、ベンチャー企業での技術とビジネスの融合にも力を注いでいる。
出典:日経コンピュータ 2009年9月16日号
146ページより
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