「スマートグリッド」の出発点がブッシュ政権時代に成立した法律であることは日本ではあまり知られていない。2007年に成立した「エネルギー独自開発・確保法案」で言及されている。

 それに肉付けをしたのが、オバマ政権になって2009年に成立した「米国回復・再投資法案」である。議会での議論は短時間だった。78兆7000億円の予算の内、6兆1300億円がエネルギー分野に割り当てられた。このうちの4500億円がスマートグリッドのための予算である。エネルギー省の1部門である電力・エネルギー安定部門に割り当てられた。

「10兆円を超える市場になる」

 膨大な予算に、市場規模予測も加熱気味だ。米国の市場調査会社Specialists in Business Information(SBI)は米国スマートグリッドの市場規模を、2009年は6000億円程度、2014年までは毎年1兆7000億円規模になると予測している。全世界では、現在の7兆円から2014年までに17兆1000億円になると予測する。シスコは2009年5月にスマートグリッド市場への参入を発表したが、その際には今後5年間の市場規模を通信の部分だけで毎年2兆円、5年で10兆円とそろばんを弾いた。

 ただ、現段階でスマートグリッドの市場規模を確定することは極めて困難である。議論が尽くされておらず、その具体像が固まったとはいえないからだ。このようなデータは多くの場合、独り歩きするものだ。