行政改革の観点から「i-Japan戦略2015」を読む(2)海外における電子政府の取り組み文:安達 和夫(リサーチネットワーク 代表取締役研究員/東アジア国際ビジネス支援センター〔EABuS〕 事務局長) 前回、電子政府・電子自治体を新たな行政改革の手段と位置付け、海外の先進諸国では具体的に施策に生かしていると述べたが、結果重視型の欧米の行政と電子政府事情に詳しい東京大学公共政策大学院特任教授の奥村裕一氏は、以下の分析を行っている(前回の記事は、こちら)。
ここでの「ネットワーク時代の行政」とは、電子政府・電子自治体によってもたらせられる理想形モデルであることは言うまでもない。すなわち、電子政府・電子自治体は、行政のパラダイムシフトをもたらす大きな可能性を持っていることが見てとれる。 では、先進諸国が電子政府でどのような施策を行い、どのように変革を遂げてきたのかを、韓国と米国の例を参考に記述する。 経済危機が引き金になった韓国の電子政府韓国の電子政府は、金大中氏の大統領選の公約に始まったといって過言ではない。それは、1997年9月の世界日報に掲載された情報化政策に関する金大中氏の見解に端的に示されている。
当時の韓国は、1997年から1998年にかけての経済危機に瀕していた。この危機を克服する上の施策として、世界最高水準のITインフラの構築と産業育成を強力に推進した。 2000年に電子政府11大課題を発表し、G4C/G2B/G2Gの本格的な推進、住民・不動産・自動車・税金・調達などに関する情報の電子化を行い、2002年オンライン電子政府サービスが開始された。この政策は2002年にe-Korea戦略にまとめられ、2003年2月に就任した盧武鉉政権では、前政権の政策を引き継ぎ、より強力に推進するために電子政府課題を31重点計画に拡大した。 韓国の電子政府の発展過程では行政の透明化が鍵ただし、IT化政策並びに電子政府に対する国民の理解は、当初は決して好意的とはいえず、政府の掛け声に対して冷ややかな視線を送る国民も多かったと言われている。 国民の電子政府に対する意識を変えたのは、皮肉にも政府行政機関の汚職体質にあった。当時の韓国では、「民願」といわれる申請手続きの許認可を早く獲得するために、行政官への賄賂が習慣的に行われていた。民願に伴う汚職慣習を除去する最も効果的な方法として導入されたのが、「Open System」である。このサービスは、出願から許認可までのプロセスをすべてガラス張りにし、自分の申請がどのような審査過程にあるのかを、その審査を担当している行政官の名前と連絡先も含めてオンラインで検索可能とするものである。折しも韓国の民主化運動が盛り上がっている中で、Open Systemは導入後に国民の多くの支持を得て、一気に電子申請が定着したと言われている。 その後、行政の透明化に向けた取り組みは加速され、統合情報公開システムでは市民がインターネットを活用して政府が保有している行政情報の目録を閲覧し、必要な情報をオンラインで公開を申請することができる。このシステムは2006年4月からスタートし、現在780の機関、400万件の情報目録が検索・公開できるサービスが提供されている。さらに政府予算の歳出状況をオンラインで検索可能な仕組みも提供されている。 また、生産性・効率性向上の切り札として行政情報の共有化が進められ、各行政機関が保有している行政情報を相互共有することで行政申請の際、添付書類の廃止、無駄な書類発行を縮小する試みが進められ、書類の発行・流通、公務員の業務処理短縮で年間1262億ウォン、民間側の時間節約で1兆6481億ウォンの経済効果が上がっているとされている。 このように、韓国の電子政府構築は、IT技術を活用し政府の業務システムと国民に対する行政サービスの内容を改善することで政府の生産性・効率性と透明性を最大にする政府形態を目指している。 キーワード
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