「パンデミック対策検定」の解答を解説します。パンデミック対策を計画する立場にある方はもちろん,一般部門の責任者やリーダーも理解しておきたい内容です。

 なお,私たちが現在直面している新型インフルエンザの脅威は,その規模においても,拡大のスピードにおいても人類にとって未知ものです。従ってガイドラインや法制度などに,まだ考慮されていないと思われる点があることは仕方のないことだと思います。「パンデミック対策検定」にはあえてこのような問題をいくつか取り入れています。難しいけれども決して避けて通れない問題です。今回の検定が,これらの問題への対策を社内で議論するきっかけになれば幸いです。

ご注意:労働基準法などの法律は実際のケースにより専門家の間でも判断が分かれることがあります。対応の検討を行う際は必ず社会保険労務士や弁護士などの専門家を交えて進めてください。

監修◆危機管理アドバイザー(スタンダード&プアーズ Vice President)佐柳恭威

新型インフルエンザ関連の基礎知識

【第1問】
 新型インフルエンザに感染した後で,新型インフルエンザワクチンを接種しました。この場合,治療効果は期待できるでしょうか。
【選択肢】正解
A  効果は期待できない
B  接種しない場合よりも回復が早い  
C  どちらとも言えない  

正解は選択肢Aです。

 新型インフルエンザワクチンは予防薬であり,感染後に接種しても効果は期待できません。予防効果は接種後おおむね2~6週間後から現れます。




【第2問】
 「タミフル」や「リレンザ」などの抗インフルエンザ薬には,どのような効果があるでしょうか。
【選択肢】正解
A  ウイルスを直接攻撃し,死滅させる  
B  体内の抗体を活性化することで免疫機能を高める  
C  ウイルスの増殖を阻害する

正解は選択肢Cです。

 タミフルやリレンザなどの抗インフルエンザ薬は,ウイルスの増殖を抑えることはできますが,ウイルスそのものを殺すことはできません。感染後24時間~36時間以内に投与が必要とされているのはこのためです。ウイルスを直接攻撃できる薬は,インフルエンザの治療薬としてはまだありません。