100ギガビット・イーサネット(100GbE)対応製品の姿が見えてきた。2009年6月に米ジュニパーネットワークス,7月に仏アルカテル・ルーセントが対応製品を発表した。販売開始は2010年になる。100GbE規格(IEEE 802.3ba)の標準化作業が完了する2010年6月以降には他社からも続々登場する見込みだ。
100Gビット/秒の伝送速度を実現する次世代イーサネット規格が100GbEである。仕様を策定するタスクフォースが2008年に設立され,2009年7月で仕様がほぼ固まった。2社は,この仕様に基づき,発表した製品の試作品を開発した。
100GbEは,通信事業者や大規模インターネット接続事業者(ISP)のコア・ネットワーク向けのルーター,IX向けのスイッチなどで使われる。現状では,これらの機器を結ぶ回線には10ギガビット・イーサネット(10GbE)が利用されている。ところがトラフィックの爆発的な増加に伴い,10GbEでは足りなくなっていた。多くの事業者は,10GbEを複数束ねて1本の回線のように運用する「リンク・アグリゲーション」という仕組みを使ってしのいでいるが,運用・管理が複雑になるという問題がある。
こうした状況は100GbEの標準化作業が始まる前の2007年ころから続いており,100GbEのルーター/スイッチは事業者にとって待望の製品と言える。
完全対応製品は今回が初
ルーターやスイッチは一般に,インタフェースを収容する「ライン・カード」と,それらをつなぐ「スイッチング・ファブリック」の二つで構成されている。それらはモジュールとして実装され,「シャーシ」と呼ばれる本体のスロットに差し込む形態になっている。
ジュニパーとアルカテル・ルーセントは,この両方を100GbEに対応させた(写真1)。ライン・カードまで対応した製品を正式に発表したのは両社だけである。ほかにも100GbE対応をうたった製品を提供しているベンダーはある。中国のH3Cテクノロジー,米エクストリーム ネットワークス,米シスコ,米ブロケード コミュニケーションズ システムズなどだ。ただ,これらのベンダーの製品は,スイッチング・ファブリックだけを100GbEに対応させた“100GbEレディ”製品である。

ジュニパーはコア・ルーター「T1600」とそのライン・カード「100GE PIC」を発表。早ければ2009年第3四半期にユーザーの実環境でフィールド・トライアルを実施する。11月に米国ポートランド市で開かれる「SC09」では実機デモを披露する予定だ。
一方,アルカテル・ルーセントはサービス・ルーター「7750 SR」とサービス・スイッチ「7450 ESS」,それらのライン・カード「IMM」(仮称)を発表した。現在,ユーザー2社がフィールド・トライアルを実施中だという。