1998年創業のベイテックシステムズが第二の創業期を迎えている。これまでEC(電子商取引)関連のシステム販売を主力にしてきたが、2008年9月からはクラウドコンピューティングを軸にしたサービス提供会社に鞍替えしている。起業人としての自身の資質が「次はクラウドだ」と言っていると語る原口豊社長に、クラウドにかける意気込みなどを聞いた。(聞き手は島田 昇=日経コンピュータ)

ベイテックシステムズの主力事業は何か。

 1998年の創業時からECやCRM(顧客関係管理)のシステムを中心に販売してきた。約10年が過ぎた今も、これらのシステム販売が主力で、売り上げの約9割を占める。しかし、2008年からはクラウドコンピューティング関連のサービスを提供しており、今後はこれを主力にする。クラウド関連の売り上げは2010年度(2010年3月期)に全売り上げの半分、2011年度には75%に達すると考えている。

 クラウド関連サービスでは、企業の情報システムをクラウドに移行する支援サービスを、「サテライトオフィス」ブランドで提供している。米グーグルのクラウド関連サービスの導入支援が9割、残りを米アマゾン向けのサービスが占める。グーグルなどが提供するIT基盤を使って、当社はその導入支援やそこに乗っかる各種サービスの提供をビジネスにしている。

再びテクノロジーが見直される時代に

 IT業界は米マイクロソフトや米オラクルといったテクノロジーベンダーがけん引する時代から、楽天やミクシィなどのサービス提供企業がけん引する時代を経て、今のクラウドの時代を迎えている。またテクノロジーが見直される時代になったわけだ。クラウドが業界を席巻する時代が数年は続くだろう。その間に、既存ベンダーの淘汰が進むため、大きなパラダイムシフトを迎えることになる。

 我々のようなベンチャー企業にとって、こうしたパラダイムシフトはチャンスだ。果たしてクラウドが国内で普及するか否か、普及するとすればどのベンダーが生き残り、どのベンチャー企業が一気に頭角を表わすのか──。このことを日々ドキドキしながら考えている。

主力にしてきたECは将来性がないということか。不況期でもECは好調という。

 確かに、仮想モールやASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)サービスなどは好調だが、パッケージソフトの需要は一巡した。中堅以上の企業が必要とするパッケージソフトは、2005年頃を機に市場は頭打ちになっている。それだけに将来性は期待しづらい。今伸びているECとは異なる市場だ。

 実は、ECのパッケージソフトの次の一手をずっと考えていた。しかし、当時は行動に移せない事情があった。具体的には、上場を目指して東芝グループに入ったのだが、これがうまくいかず、その後、アイ・エム・ジェイの傘下となり新しいことを何一つできない状況になった。2008年2月にアイ・エム・ジェイが保有するすべての株式を自社株式買付によって取得が完了したことで、ようやく次の一手が打てるようになった。それがクラウドだ。

 クラウドは、そこに様々なサービスが乗るため、EC以上の市場規模になるだろう。そして何より、私はクラウドが好きだ。始めはクラウド上でECを動かしたいという程度だったが、今はここにすべてをかけようと思っている。