菅原 一成 氏
ネットワンシステムズ サービスプロバイダー事業グループ
SP技術本部 SEサービス部 第2チーム課長
菅原 一成 氏

 『動いて当たり前』と思われているシステムほど,時にスマートに,時に泥臭く,仕事をやり遂げるエンジニアの支えが裏にある。その最たるものがネットワークであろう。

 ネットワーク運用エンジニアは,ネットワークの安定稼働に必要な運用・保守のプロである。ネットワーク機器を設定して設計図通りに仕上げ,稼働後は状況に応じた設定変更や機器の更新,監視作業といった仕事をする。通信事業者のネットワーク運用に携わるネットワンシステムズの菅原 一成氏は「社会のインフラとなるコアネットワークの“中”で仕事ができるのがやりがい」と語る。

 菅原氏がネットワーク運用エンジニアになろうと思ったのは,新卒で入社した食品メーカーでネットワーク構築プロジェクトにかかわった1996年頃のこと。インターネットの盛り上がりを目の前にし,菅原氏は「使う側でなく,その流れの中にいたい」と思うようになった。それまで携わってきた店舗の統括業務の傍ら,ネットワーク構築プロジェクトへの参加を名乗り出る。「当初は分からない用語ばかりでした」という菅原氏だが,コンピュータ系専門学校の週末コースに通うなどの自主努力で頑張り抜いた。

 いつしか「ネットワーク構築を仕事にしたい」と思うようになった菅原氏。転職を決意し,2000年にネットワンシステムズの運用保守子会社であるネットワークサービスアンドテクノロジーズに入社した。

トラブルと格闘しながら難関の最上位資格を取得

 ネットワーク運用エンジニアとしてのキャリアをスタートさせた菅原氏が,最初に配属されたのは障害対応チーム。顧客のもとに駆けつけ,最前線でトラブルに立ち向かう部署だ。「現場のエンジニアが鮮やかにトラブルを解決,というわけにはなかなかいきません。まずは状況を把握し,数百台にも及ぶネットワーク機器のログを集めるのが仕事でした」。

 ネットワーク運用の最前線に身を置きながら,菅原氏はネットワークの運用に役立つ資格の取得にも励んだ。有志による社内勉強会などに参加し,2002年までにネットワーク機器最大手の米Cisco Systemsが用意する技術者資格「CCNA」と「CCNP」を取得。2004年には最難関となる「CCIE」試験の合格を果たした。

 2006年にはネットワンシステムズに転職。スキルアップするにつれて,通信事業者のネットワーク運用が主な業務になった。「マルチベンダー志向の顧客への備えとして,米Juniper Networksのベンダー資格の取得を視野に入れています。まずはチームを率いる立場のエンジニアとして,プロジェクトマネジメントの資格であるPMPを先に取得する予定です」と,コアネットワークを“止めない”ためのスキルアップを欠かさない。

お仕事解説:ネットワーク運用エンジニア

インフラを支える縁の下の力持ち

 ネットワーク運用エンジニアは,主にネットワークエンジニアが設計したネットワークを,実際に構築・運用する職種である。場合によっては,全国・全世界に広がるネットワーク機器や通信回線を本稼働させ,稼働後は運用・監視業務に携わる。

 “動いて当たり前”のように見えるネットワークであっても,その背後ではネットワーク運用エンジニアによる設定の見直しやバグ修正,パッチの適用といった数多くの仕事がある。24時間365日の運用・監視体制を敷く場合は,夜勤業務に従事することもある。

 キャリアアップは管理職のほか,設計に携わるネットワークエンジニアに転身する道がある。設計と運用でベンダー資格が分かれているわけではないので,スキル次第で適正に応じた路線変更が可能だ。

必要なスキル

  • ネットワークに関する基礎知識
    監視対象のことが分からなければ始まらない。特に「マスタリングTCP/IP」(オーム社)シリーズは,ネットワークと名の付く職種で必読の教科書。
  • ベンダー資格
    ネットワーク機器最大手である米Cisco Systemsの「CCNA」「CCNP」「CCIE」が代表格。CCNAとCCNPは選択式試験のみで取得可能。CCIEは機器設定の実技を伴う最上位資格で,国内取得者数は2009年2月の段階でわずか1089人。
  • コミュニケーションスキル
    トラブル発生時に顧客と向き合う職種のため,限られた情報の中で顧客を納得させる説明手腕が問われることも。